第17章

島のほぼ全ての島民が寝静まるであろう時刻。
グループの活動は昼夜問わないが、会合の日時はいつも決まっている。
個人で犯行を繰り返し、月に一回の会合でお互いの成果を見せ合うのだ。
それ次第でグループ内での位が決まり、多ければ多い程頭に近くなる…しかし逆もまたあり成果が少なければ降格、最悪グループ排除、その場で処刑もありうる。

例え犯罪グループであろうと、決められたルールが無ければ崩壊してしまうから。

「…今月はこの場所か。」
グループの中の一人が辿り着いた場所で、小さく呟く。
トカゲは複数の拠点を持っている、場所が固定されないのは警官に見つからない為であり、更に利点を言えば、基本大勢では動かない彼等にとっても都合が良いという事もある。
場所は決まって空き家で、グループの誰かが当番制で確保、時間帯は必ず夜…グループの人数が増え、このルールが始まって数年は経過していた。
扉を開けると、自分が最後だったようで男は後ろ手で扉を閉める。
「これで全員だな。」
頭である男が確認し、会合を始めた。

「―先月よりは成果も上がっているな。」
上げられた戦利品の数々を目の前にし、頭は言う。
金品や宝石、バッグなど…真ん中に置かれている品々に一つ一つ目を通してゆく。
頭が一つ一つ戦利品に対し、値踏みを行う度に無言ながら仲間の緊張が伝わるのがお互い理解出来る。
結果次第では、自分の組織の身の振り方が変わってくるので時折成果を出せなかったメンバーは自分の所有物を出す事さえもあった。
「今月は観光客も島に増えたから、そこから盗めた物もある。」
ふむ…と少し思案している様子の頭に、隣に居るナンバー2から「いかがしました?」と聞かれる。
「…このグループも力を付けてきた、この島だけにこだわっているといずれは足が付くだろう。」
だから、とのっそりと立ち上がった。

「蓄えも出来たからな…手頃な船を乗っ取って島を出ようと考えている。」
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