第17章

昼間の内に情報収集をしようと朝食後早々に解散し、船で留守番をするメソド以外のメンバーは外へ行く支度をし始める。
その中、やはりサナはノイの胸中を案じていた。
この後は彼に同行は出来ず、サナは一人で情報収集、ノイとマツリ、船長とガーナで聞き込みに行く予定だったので、サナは声を掛ける。
「ノイちゃん、似顔絵…どうだった?」
がさごそと、ある程度の荷物を準備していたノイは、一度その手を止めるがサナに顔を見せる事無くそのまま作業を進めた。
「別に…どうもねぇ。」
「わたしはあの似顔絵の中に似ている人はいなかったのって聞いているの。」
はぐらかしているのか、現実を見ない様にしているのか、判断出来なかった為より具体的に聞く。
逃げ道を塞がれて少し口を曲げるも態度を変える訳でも無く彼は話す。
「似顔絵は似顔絵だ、そっくりに描かれているかもしれねぇが、同じ奴とは」
「いたかどうかだけ答えなさい。」
ぴしゃりと言われ瞬間無言になるも、船長みたいにナイフの雨を降らされるのが嫌なのか今度は素直に言う。
「―離れて十年弱になるが、よっぽど顔が変わらん限りは…いた、と思う。」
なるほど、と地元を離れてこんな場所で悪事を働いている事と受け入れられない気持ちもあるだろうが、その前に離れた時間が長過ぎて、ノイの中でも本当に知っている相手なのか決定打が無いのだろう…と考えたサナは次の質問を投げる。

「もし、犯罪集団の中にその子がいるとして…貴方は、捕まえられますか?」
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