第16章
耳の中に残っているはずのない自分を非難する声がある気がして、メソドは一人船の廊下でその雑音を出すかのように軽く耳を叩く。
(…全く、憶えていないんだからしょうがないだろ。)
自分達だって日頃好き勝手する癖に、といつもの仏頂面に戻った彼は自分の行く先である医務室、そこに船長が入口に立っている事に気付いた。
「何か御用で?」
基本的に余程重症を負わない限り、昼寝の場所としてしか使わない彼が夜ここに来るのは珍しい。
そう思いながら普通に話し掛けると、ゆらりとこちらを見られる。
「―いや、用事って程でも無いけど…体、大丈夫?」
一瞬聞き違えかと思ったが、メソドはそのまま答えた。
「はぁ…どこで怪我したか分からないですが、擦り傷が多少あるくらいです。」
「そう。」
じゃあいいや、とばかりにくるりと医務室には入らず去って行く。
「…?」
本当に意図が読めない男だ、そう思いながら、散々好き勝手したせいかいつもより早く眠りにつく。
いつか来る、あの続きは―また彼が思い出した時に。
(…全く、憶えていないんだからしょうがないだろ。)
自分達だって日頃好き勝手する癖に、といつもの仏頂面に戻った彼は自分の行く先である医務室、そこに船長が入口に立っている事に気付いた。
「何か御用で?」
基本的に余程重症を負わない限り、昼寝の場所としてしか使わない彼が夜ここに来るのは珍しい。
そう思いながら普通に話し掛けると、ゆらりとこちらを見られる。
「―いや、用事って程でも無いけど…体、大丈夫?」
一瞬聞き違えかと思ったが、メソドはそのまま答えた。
「はぁ…どこで怪我したか分からないですが、擦り傷が多少あるくらいです。」
「そう。」
じゃあいいや、とばかりにくるりと医務室には入らず去って行く。
「…?」
本当に意図が読めない男だ、そう思いながら、散々好き勝手したせいかいつもより早く眠りにつく。
いつか来る、あの続きは―また彼が思い出した時に。
