第16章

腹にその刃が届くかといった所で、ふわりとその身が宙を舞いトンッと挑発するかの様に片手で船長の方を叩く。
すぐさま上空に向けてサーベルを振るも、すでに相手は離れその場所から今度は明らかにその体に向けてナイフが襲い掛かってくる。
これまでは針金や恐らく毒薬が塗られている針が使われていたが、今の攻撃はより真っ直ぐな殺傷力を向けられていた。
(ったく、何が試しだ。)
いずれこうなる、そう分かってはいたが明らかに今がその時では無いのに。
投げられたナイフを弾き、避けながら自分に利の有る近距離に持ち込もうと近付くも、考えが読まれているのか近付かせない様次から次へと攻撃は続く。
「やーい、やーいふじみのちからはどーしたー?」
「いい加減に…しろっ!」
ビキリとこめかみに血管が浮き出て、サーベルを投げる。
それはナイフの森を超え、真っ直ぐメソドの元へと飛び。

ぐさり、と音が響く。
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