第16章

『ざぁんねんだったなぁ~…ひっく、じゃあ、こころおきなく…ひっく、おこちゃまたちにはいけね~とこいってくっからよ~!』
メソドに最後そう言われたとへこんでいる口調でマツリが話していたと聞き、メソドが向かっていった先であるイベント会場へサナとノイは向かう。
「いい、ちゃんと酔い防止の薬は飲んだわよね?」
「お前こそだろ。」
子ども扱いは止めろとノイは言うが、サナの目は三角のままだ。
「わたしはただ気持ち悪くなるだけだけど、酔ったノイちゃんもタチ悪いんだから~。」
「飲み過ぎなきゃ良いんだよ。」
複雑な顔をするノイに「どーだか。」とやれやれと言った様子で見つめていたサナだが、歓声が聞こえ足を止める。
「…始まっているわね。」
むせ返る様な酒の匂いに隠す事も無く嫌悪感を顔に出す美形、その隣の強面は興味深そうな表情に変えた。
「…あんま嗅いだ事の無い匂いだな、濃いめのやつか?」
「わたしに聞かないでよ、あと目的を忘れない。」
職業柄だから仕方ないにしても、彼の食の探求心に空気を読んで欲しいと伝える。
「…メソドちゃん捕まえたらいくらでも試飲して良いから。」
何でもかんでも禁止していると不満が爆発するだろうと、サナにご褒美を設定すると、見知っている者ならば分かりやすくその目を輝かせた。
「いいのか?」
「ちゃんと捕まえてからよ!」
人だかりの中、酒を浴びる覚悟を決めて男二人は酒を求める人の山に飛び込んでいく。
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