第16章

「マツリちゃんが苦労して視た光景の中にあったのは…と。」
先程メソドの声がしたという連絡から、すぐガーナから緊急で通話が来たサナはマツリからのヒントを見つけようとノイと共に移動していた。
「赤い旗、茶色の建物、飲み食い出来る椅子やテーブルが置かれた場所…ね。」
「つってもよぉ、そんなとこいっぱいあり過ぎて絞れねぇだろ。」
文字とか書いてなかったのか、とノイが聞くもサナは首を振る。
「経緯は知らないけど、だいぶマツリちゃんが頑張って調べ出してくれたのよ…生意気言わないの。」
「…つーか、お前も口調戻ってんじゃねーか。」
ノイが指摘すると、サナは周りを指差し「こんな人達まみれじゃ、わたしの事さえ気に掛からない人も多いわ。」と告げた。
サナの言う通り、周りの人間は一様に酔っぱらっており、歌いながら歩く者、顔を真っ赤にして陽気に笑う者、早くも飲み過ぎて石畳の上で青い顔をして倒れている者…様々。
「話には聞いていたけど酔っぱらいだらけね…この場にいるだけで酔いそう。」
「お前弱いもんな。」
「弱いんじゃないの、弱くなったの。」
昔はそんな事無かったのに…とぶつくさ言い始めたのでノイは黙る。
(しかし…見つかるか?)
メソド一人ならその騒ぎようで気付きやすいが、今この島には同じような酔っぱらいが何人も居るこの状況。
見つけなければならない、そうは思いながらもノイの中でじわじわと悪い予感が広がり始めた気がした。
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