第16章

メソドの声がしたというつまみを売っている店に到着したマツリ達だが、もう既に彼の姿は無かった。
「やたら酔っぱらった緑髪の男?…まぁそれっぽいのはさっきいたけどなぁ。」
応対してくれたのはメソドに対し「景気が良いね~。」と声を掛けていた店主で、少女達がなだれ込む様に店に入って来たが、フェスティバルの影響か快く質問に答えてくれる。
「ここら辺のつまみを買っていったな、そこそこ値が張るモンなんだが…あ、返品は受け付けてねぇぞ。」
商売は商売だからな、と言われるがマツリ達が聞きたいのはそこじゃないので、本題を伝えた。
「お金は大丈夫です、払っちゃたし…その男の人がどこの方向に向かったか見ていませんか?」
「あ~そいつは…すまん、すぐ別の客があの後声を掛けて来たから、そっちの会計をしていて見てなかった。」
力になれずすまんな、と謝られ聞ける事は聞けたマツリは店の外でサナとノイに連絡を取っているガーナに声を掛ける。
「どう?」
「こっちに来たみたいだけど、すぐに移動してどこに行ったかは分からないって…。」
『足取りは掴めたから良しとしますよ。』
リンリン草の花からサナの声が聞こえ、マツリはほっと息を吐くもすぐに顔を引き締めた。
「あたし達この辺りを探しています、サナさん達も出来るだけ近くで探してみて下さい。」
『了解。』
端的に返事をされ、そこでふつりと繋がりは切れる。
「ガーナも近くにいるどうぶつさん達にもきいてみるね。」
「ありがとう、ガーナちゃん。」
自分達の行ける範囲は少なく、また体力も長くは持たない。
けれど、いつもならトラブルを起こす事とは無縁のメソドが酔っぱらって何を仕出かすか分からないこの状況を一刻も早く終わらせる為に彼女は決意する。
「―使うか、二つ目。」
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