第16章

指定の船着き場に停めさせて貰い、関所に辿り着いた面々は各々検査を受けてある一室に案内された。
「はーい、観光客さん方はこっちねー。」
本当なら畏まった対応が殆どなのだが、今日は祭りがあるからか何だか纏っている雰囲気がゆるい。
やっぱり祭り目当てに来ている人が殆どなのかなとマツリは思いながら付いていこうとすると「あ~ごめんね。」とやんわりと断られる。
「君はこっちに居て欲しいかな…あ、お嬢ちゃんもこっちね!」
何故か女子達のみ同じ部屋でも別の位置へと誘導された。
何故だろうと不思議な顔をしたままの二人に「すぐ終わるから待っててね~。」と言われたので、その言葉通りにする。
「は~い、では皆様本日来島頂きまして誠にありがとうございま~す。」
ぺこりと大人達の前で一礼して挨拶をする役員に、一同も軽く会釈をした。
「無事に検査も終わり、皆様全員島に立ち入る事が出来ます…が、申し訳ないですがレディー様方は、フェスティバル開催中の為一部の飲酒ゾーンは立ち入る事が出来ないので、ご容赦下さい。」
申し訳無いと謝られ、元々島を降りない方が良いと言われていた彼女達は大丈夫ですと答え、そしてマツリは質問を口にする。
「あの…知らなくて申し訳無いのですが、フェスティバルって何ですか?」
あぁ、と役員は頷き快く教えてくれた。
「今の時期、新しいお酒が出回る時でして…多くのものを試飲出来る新酒フェスティバルをこの島で開催されております。」
あぁなるほど、それでこの賑わいなのかと納得した彼女はお礼を言うと「お嬢様方にはノンアルコールの物もございますので、そちらを是非お召し上がりください。」とちゃっかり宣伝を含めた言葉を返される。
「さて…では、本題を。」
指をパチンと鳴らすと、後ろから別の職員が出て来る…そして。

「この島に入る風習としてこちらを浴びて頂く必要があるので…失礼します!」

その言葉の後、職員達が持ってきた瓶から液体が沸き上がった。
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