第16章

手頃な島があったと、船長は持ってきた地図を食事が終わり片付けたテーブルに広げる。
「ここなら治安も良いし食品も揃っているから、問題は無いと思うぞ。」
「この島…シドウィン島というのですね。」
マツリが地図に書かれている名前を読み上げると、サナは何か思い出したのか「あ…。」と声を上げた。
「船長…念の為に聞くけど、ここの特産品目当てで行くんじゃないでしょうね?」
特産品?とマツリとガーナは首を傾げるが、他の大人メンバーは理解出来た様子を見せる。
「違うもんね~本当に近かったから提案しただけだもんね~。」
わざとらしく唇を尖らせて言うので、その真意は不明だが状況が状況だから仕方ないとサナは溜息を吐く。
「…マツリちゃん、ガーナちゃん、二人はこの島に降りない方が良いわ。」
「え…?」
「え~なんでなんで~!?」
驚くマツリと仲間外れにされて不服そうなガーナにサナはその理由を告げる。

「その…この島の特産品はお酒なのよ。」

とても申し訳なさそうに話す美形に不満そうだったガーナも「うっ。」と表情を一変させた。
「世界中の呑兵衛達が集まるから、酔っ払いに絡まれる事もあるわ…その対応に慣れていないのであれば、降りない方が無難よ。」
小さな女の子達を危険な目に遭わせない為の言葉は優しさに溢れていて、女子達は「分かりました。」「…そういうことなら。」と承諾する。
「わたしもお酒は苦手だし、残るわ…他の三人に行ってもら…」
そこまで言ってちらりと視線を送るも「いや…」とその首を振った。
「…やっぱり二人に行って貰いましょう、ノイちゃん、船長、お願い出来る?」
「あ?」
そこでしれっと除外されたメソドが声を出す。
「別に…行っても良いだろ、飲む訳じゃ無いし。」
「貴方だから不安なのよ、こっちは。」
明らかに厳しい顔をしてサナは女子達以上にメソドに対して厳しく船に居る様に伝えるも相手は腑に落ちない顔をしている。
「メソドきゅんは何か島に用事があったの?」
買ってこよっか?と助け船を出そうとする船長だったが、それが反って舐められている様な気がしたのか「いいです、別に。」と突っぱねられた。
何故か海賊一同がメソドに対し船を降りない様に動いている様に見えて、マツリは分からないが聞く事も出来ないまま時が過ぎて行き…数日後、シドウィン島に無事辿り着く事が出来た。
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