第16章
そして問題の夕飯。
「………。」
マツリは渋い顔をしながら出されたスープやサラダの中に例の食材が入っていないか注視している。
「…出してねぇよ、そんな目しなくても。」
流石に自分の作った料理に嫌な目を向けられるのはいい気分がしなかったのか、些かむっすりした顔でノイが言ってそこでやっとマツリは安心した表情を見せた。
「しかし…ちょこちょこ出していたのに全く気付かないとはねぇ…。」
くくくと船長に笑われ「うぅ…。」と唸りながらも彼女は少しずつ夕飯に手を付け始める。
「何か食べた事の無いエビだな~くらいにしか思っていなかったんですよ…それがまさか幼虫なんて…。」
「触感似ているものね…。」
こちらはもう慣れたとばかりに食べているサナと「ガーナはたべられるよ!」と得意げにぱくぱく食べるガーナに挟まれ、マツリは居心地悪そうに肩を縮めた。
「…その内馴れる。」
珍しくメソドからもフォローの言葉を貰い、ひょっとしてメソドも苦手だったのかなと思い少し気が楽になる。
「まぁ、誰しも苦手なモンはあるしな!」
オレはイカ苦手だし!と笑う船長にガーナとマツリは目を丸くした。
「え、船長食べ物苦手な物があったんですか?」
「いがい~。」
失敬な、と頬膨らますふざけた様子の彼は次にガーナを指差す。
「そういうガーナちゃんは、スパイスが苦手だもんね~。」
「む~辛いのがにがてなだけだもん!」
そういえば、辛めの物を作る時二種類作っていたなとマツリは思い返す。
「あたしもあんまり辛いのは苦手だよ、ガーナちゃん。」
「よかった~あまい方がいいよね。」
そういえば、とガーナは今度サナの方へ目を向ける。
「サナはあますぎるのは苦手なんだっけ?」
え、とマツリは驚いて美形の方を見ると少し苦笑しながら「そうよ。」と返事が来た。
「砂糖漬け…みたいな物はあまり得意じゃ無いわね、よく言えば自然な甘さが好きかしら。」
「そんな甘い顔持ってる癖にな~女の子とカフェ行く時どーしてんの?」
「それは正直に言うわよ、ケーキ苦手だからわたしは飲み物だけで良いですって。」
しつこい時の良い断り文句にもなるしね、とウインクをするその様は流石手慣れたものだと女子達は感心の溜息を漏らす。
「でも見た目で判断しない方がいいわよ船長…ウチの海賊一の苦い薬草が苦手な甘党は一番怖い顔しているんだから。」
自分に関係無い話が続き、油断していたのかノイが咽込む。
「…え、ノイさん?」
「ちげーだろ、ガーナだろ。」
「ほぼほぼ変わらないとおもう。」
冷静な返しをされてノイは複雑な顔をする。
「何だったらガーナのおやつ買いにいくときも…」
「それ以上言うんじゃねぇ!」
強面が反対側からわざわざ手を伸ばしガーナの口を塞ごうとすると、美形と目が合う。
「ノイちゃん。」
「………。」
「ちょっと後で話をしましょうね?」
分かった?と言葉と顔だけなら優しいものだが、明らかにその後ろに背負っている気配が禍々しい。
「―――おう。」
話がひと段落して海賊達は各々夕飯を再開するが、マツリは少し気になる事があった。
(船長はイカ、サナさんは甘い物、ノイさんは薬草、ガーナちゃんはスパイス…メソドさんは?)
静かにご飯を食べ進める彼の性格から見て自分から弱みを曝け出す様な事はしないだろうから、こっそりと今度聞いてみようかとマツリは思った。
その機会は意外とすぐに訪れる事となる。
「………。」
マツリは渋い顔をしながら出されたスープやサラダの中に例の食材が入っていないか注視している。
「…出してねぇよ、そんな目しなくても。」
流石に自分の作った料理に嫌な目を向けられるのはいい気分がしなかったのか、些かむっすりした顔でノイが言ってそこでやっとマツリは安心した表情を見せた。
「しかし…ちょこちょこ出していたのに全く気付かないとはねぇ…。」
くくくと船長に笑われ「うぅ…。」と唸りながらも彼女は少しずつ夕飯に手を付け始める。
「何か食べた事の無いエビだな~くらいにしか思っていなかったんですよ…それがまさか幼虫なんて…。」
「触感似ているものね…。」
こちらはもう慣れたとばかりに食べているサナと「ガーナはたべられるよ!」と得意げにぱくぱく食べるガーナに挟まれ、マツリは居心地悪そうに肩を縮めた。
「…その内馴れる。」
珍しくメソドからもフォローの言葉を貰い、ひょっとしてメソドも苦手だったのかなと思い少し気が楽になる。
「まぁ、誰しも苦手なモンはあるしな!」
オレはイカ苦手だし!と笑う船長にガーナとマツリは目を丸くした。
「え、船長食べ物苦手な物があったんですか?」
「いがい~。」
失敬な、と頬膨らますふざけた様子の彼は次にガーナを指差す。
「そういうガーナちゃんは、スパイスが苦手だもんね~。」
「む~辛いのがにがてなだけだもん!」
そういえば、辛めの物を作る時二種類作っていたなとマツリは思い返す。
「あたしもあんまり辛いのは苦手だよ、ガーナちゃん。」
「よかった~あまい方がいいよね。」
そういえば、とガーナは今度サナの方へ目を向ける。
「サナはあますぎるのは苦手なんだっけ?」
え、とマツリは驚いて美形の方を見ると少し苦笑しながら「そうよ。」と返事が来た。
「砂糖漬け…みたいな物はあまり得意じゃ無いわね、よく言えば自然な甘さが好きかしら。」
「そんな甘い顔持ってる癖にな~女の子とカフェ行く時どーしてんの?」
「それは正直に言うわよ、ケーキ苦手だからわたしは飲み物だけで良いですって。」
しつこい時の良い断り文句にもなるしね、とウインクをするその様は流石手慣れたものだと女子達は感心の溜息を漏らす。
「でも見た目で判断しない方がいいわよ船長…ウチの海賊一の苦い薬草が苦手な甘党は一番怖い顔しているんだから。」
自分に関係無い話が続き、油断していたのかノイが咽込む。
「…え、ノイさん?」
「ちげーだろ、ガーナだろ。」
「ほぼほぼ変わらないとおもう。」
冷静な返しをされてノイは複雑な顔をする。
「何だったらガーナのおやつ買いにいくときも…」
「それ以上言うんじゃねぇ!」
強面が反対側からわざわざ手を伸ばしガーナの口を塞ごうとすると、美形と目が合う。
「ノイちゃん。」
「………。」
「ちょっと後で話をしましょうね?」
分かった?と言葉と顔だけなら優しいものだが、明らかにその後ろに背負っている気配が禍々しい。
「―――おう。」
話がひと段落して海賊達は各々夕飯を再開するが、マツリは少し気になる事があった。
(船長はイカ、サナさんは甘い物、ノイさんは薬草、ガーナちゃんはスパイス…メソドさんは?)
静かにご飯を食べ進める彼の性格から見て自分から弱みを曝け出す様な事はしないだろうから、こっそりと今度聞いてみようかとマツリは思った。
その機会は意外とすぐに訪れる事となる。
