第15章

時は今に戻り…あの時、騒いでいた子どもはこうして船に残る選択をした。
まだまだ子どもの内だから、気が変わったらいつでも言えと言われるも、それでもこの船にいる。
子ども…ガーナは海賊になる事を選んだ。

きぃ…と扉が静かに開き、小さな足音が数回した後すぐにぱたんと扉が閉まる。
とてとてと一度自分のベッドの方へ行こうとするも、そこから離れもう一つのベッドの方へ移動した。
少女が見る先に居るのは、自分の初めてのともだち。
マツリはすぅすぅと寝息を立てて寝ていて、その姿にガーナはつい笑えてしまう。
(よくねてるなぁ…。)
風呂上りの肌が徐々に冷えてきて、自分も布団に包まろうとマツリを起こさない様ゆっくり戻ろうとする。
「ん…ガーナちゃん?」
むにゃむにゃとまさしく寝起き声で彼女が呟きガーナは驚きながら振り向く。
「ご、ごめんね…起こしちゃった…?」
小さな声で謝るも、まだ現実と夢の区別がついていないのかうーん…ときちんとした返事は返ってこない、ただ。

「―帰って来てくれて、良かった。」

それだけ、ぽつりと呟かれる。
何も返せず無言でいると眠気の方が勝ったのかまた寝息が聞こえ始めた。
今度は起こさないよう、よりそろりそろりと足を動かし無事に自分のベッドに辿り着く。
「ガーナも…マツリと、皆にあえて良かったよ。」
聞こえていない、けれど呟かずにはいられない言葉を零して、彼女も目を閉じる。
その顔は、幸福に満ちたものとなっていた。
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