第15章
めきゃめきゃめきゃ…と、船の中からする不気味な音が近付いて来る。
ただこちらに近付いて来る気配だけは確かにあったので、その姿が見えるまで二人は警戒態勢を解かない。
「ま…って下さい。」
そこでやっと聞き覚えのある声と姿が確認出来て、ノイはハッとなる。
目を凝らすと両の手を上げながら隣にいる子どもと一緒に現れたのは、同じ船の仲間である美形だった。
「おい、お前ら…」
「待て。」
すぐ警戒を解いたノイと違い、その姿を見ても警戒を解くどころか更に顔を険しくさせたメソドが彼を止める。
「何だよ、だってあいつらは―」
「その後ろだ、馬鹿。」
指摘されてその背後を見ると、先程聞こえためきゃめきゃという音を立てながら先程命乞いをしてきた男を巨大な植物の頂点で咲いている花が丸呑みしていた。
一瞬にしてそのおぞましい光景を見たノイはサナと子どもに危険が及ばない様すぐに走って近付く。
「何だこの花は!?」
「それは…わたしにも分からないのですが…。」
いつもなら的確な言葉ばかりを使うサナだが、あまりの非常事態なのか曖昧な答えが返ってくる。
それくらいに追い詰められているのかと、ノイは二人をがっしと掴み「逃げるぞ。」と告げた。
「ちょ、あの待って下さい、あとその動きはまず」
ひゅっと三人の間を割く様に蔓が後ろから伸びて来る。
「チッ襲ってきやがったか!」
メソド!とノイが呼ぶとすぐに手に持った針とナイフを投げ植物に対抗しようとするが、それを別のナイフが全て落とす。
「だ、か、ら…待てって言っているでしょう!」
歯をむき出してメソドの針とナイフをどうにか撃ち落としたサナが二人の動きを止める様訴える。
「この植物は敵じゃありません!」
息を荒げて言うサナにノイもメソドも戸惑いの表情を見せた。
「敵じゃねぇって…じゃあコイツはどこから湧いたんだよ。」
「明らかに人間を食う植物だろ、危険だ。」
正直な言葉が返ってきてサナも言葉に詰まるもどうにか先程起きた出来事を言葉にまとめようと必死に頭を回す、その一方で。
「うー、うー。」
サナの隣で、まるで植物に対しどうどうと落ち着かせる様に植物の茎を子どもは撫でていた。
近付くだけで襲われそうなものなのに、子どもが触れても一向に襲ってこない植物を見て二人は理解こそ出来なかったが、サナが何を訴えたかったのか何となく察する。
「―――また意味分からない案件か。」
顔をぐしゃりと歪ませ頭を掻くメソドを横目で見ながら、ノイはサナに「何があったのか話してくれ。」と頼んだ。
ただこちらに近付いて来る気配だけは確かにあったので、その姿が見えるまで二人は警戒態勢を解かない。
「ま…って下さい。」
そこでやっと聞き覚えのある声と姿が確認出来て、ノイはハッとなる。
目を凝らすと両の手を上げながら隣にいる子どもと一緒に現れたのは、同じ船の仲間である美形だった。
「おい、お前ら…」
「待て。」
すぐ警戒を解いたノイと違い、その姿を見ても警戒を解くどころか更に顔を険しくさせたメソドが彼を止める。
「何だよ、だってあいつらは―」
「その後ろだ、馬鹿。」
指摘されてその背後を見ると、先程聞こえためきゃめきゃという音を立てながら先程命乞いをしてきた男を巨大な植物の頂点で咲いている花が丸呑みしていた。
一瞬にしてそのおぞましい光景を見たノイはサナと子どもに危険が及ばない様すぐに走って近付く。
「何だこの花は!?」
「それは…わたしにも分からないのですが…。」
いつもなら的確な言葉ばかりを使うサナだが、あまりの非常事態なのか曖昧な答えが返ってくる。
それくらいに追い詰められているのかと、ノイは二人をがっしと掴み「逃げるぞ。」と告げた。
「ちょ、あの待って下さい、あとその動きはまず」
ひゅっと三人の間を割く様に蔓が後ろから伸びて来る。
「チッ襲ってきやがったか!」
メソド!とノイが呼ぶとすぐに手に持った針とナイフを投げ植物に対抗しようとするが、それを別のナイフが全て落とす。
「だ、か、ら…待てって言っているでしょう!」
歯をむき出してメソドの針とナイフをどうにか撃ち落としたサナが二人の動きを止める様訴える。
「この植物は敵じゃありません!」
息を荒げて言うサナにノイもメソドも戸惑いの表情を見せた。
「敵じゃねぇって…じゃあコイツはどこから湧いたんだよ。」
「明らかに人間を食う植物だろ、危険だ。」
正直な言葉が返ってきてサナも言葉に詰まるもどうにか先程起きた出来事を言葉にまとめようと必死に頭を回す、その一方で。
「うー、うー。」
サナの隣で、まるで植物に対しどうどうと落ち着かせる様に植物の茎を子どもは撫でていた。
近付くだけで襲われそうなものなのに、子どもが触れても一向に襲ってこない植物を見て二人は理解こそ出来なかったが、サナが何を訴えたかったのか何となく察する。
「―――また意味分からない案件か。」
顔をぐしゃりと歪ませ頭を掻くメソドを横目で見ながら、ノイはサナに「何があったのか話してくれ。」と頼んだ。
