第15章

何人目になるかもう分からないと思える程の倒れた賊を積み重ねた山がぐらぐらと揺れる。
「―もうコレ海に捨てた方が良くねぇか。」
思いがけない人数とやり合う事になったものの、どうにか切り抜け傷を負いながらまた新たな人物をそこに投げノイは隣にいるメソドに聞く。
「船長に聞いてからにしてくれ、一応。」
分かったと、素直にそのまま言う通りにする彼を見てから、メソドは向こうの船まで行き相手を殲滅するとでも言う様な船長の動きを見た。
(日頃、あれだけ動かない人間があれだけ動けるなんて、本当…どうなってんだ。)
あまりの違いに思わずチッと舌打ちをしてしまう、隣にそれを聞ける程近くに人がいる事を知っているはずなのに。
常日頃にやけたあの憎らしいと言える表情が全て落とした様な、襲った相手に対する容赦無い攻撃は、時に一撃で相手の腹を貫通させるものもあり、その獰猛さをどこに隠していたのかと問い質したくなる程。
(―あの時のオレと何が違うんだ。)
船の上にはもう賊がおらず、つい睨みつける様にその背中を見続けていると、ドタバタと別の音が聞こえる。
「た、助けてくれぇ!」
情けない声を上げて船の中から出てきた賊がこちらに助けを求めながら出てきた。
戦いを挑むのでは無く降参の言葉を吐きながら出てきたので、メソドもノイも咄嗟に反応出来ない。
こちらが何か言う前にしゅるしゅると何かが男の足を掬い、男はあっという間に船の中へと引きずり込まれる。
「ひぃっ!い、いやだ、悪かった、だから…だから命だけは…!」
爪が剥がれても向こうに行かない様に船の床にしがみつくも、虚しく彼はそのまま飲まれてゆく。
「お、おい、ウチの船の中って何も無いはずだろ!?」
中にはサナと子どもがいるだけだったのに何が起きているのか分からず、焦ってメソドに聞くが相手も全く知らないと首を振る。
「分からん…でも、こっちに何か近付いてきているのは確かだろ…!」
構えろ、針とナイフを手にするメソドに、ノイも同じく臨戦態勢を取った。
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