第15章
砲撃を受けた場所は近くの廊下で、幸い子どもの姿はいなかった事にサナは安堵の溜息を吐く。
しかし、まだ油断ならないとすぐに真剣な顔に戻り、声を上げる。
「どこ、どこにいるの!?」
船医室、武器倉庫、鍛錬室、船長の部屋…近くの所からしらみつぶしに声を掛けるも、子どもが出て来る事は無い。
それでも諦める訳にはいかないと、まだ探していなかった子どもの寝室へドタドタと大きな足音を出しながら、そこへ行くと扉が開いていてすぐに駆けこむ。
「うーッ!うーッ!」
「…あ゛?」
そこには手足を縛られた子どもと鍛え上げられた筋肉を身に纏った男がそこにいた。
「このボロ船の乗組員にしちゃあ面が良い男が乗ってるもんだな。」
男は目の前に現れたサナに臆する事無く、悠然とした態度を取っている男を掛けられた言葉に返す事無く、サナは無言でまじまじと観察した。
(これまで襲ってきた男達と比べても身なりが整っている…腰にある銃や武器も明らかに良い物、あきらかに頭か幹部クラスといったところでしょうか。)
砲撃をしてからここまで一人で侵入してきたのだろうとそこまで考えて背筋に冷たいものが走る、戦ってはいないもののその態度と恰好がすべてを物語っていた。
自分では勝てない、と。
ならば、とサナは別の選択肢を提案してみる。
「―欲しいものは何ですか?」
両の手を上げて降参の意を伝えてみると相手は「はぁ?」と答えた。
「その子を連れて行かれては困ります、金目のもの、食料、薬…あるものは渡します、だから返して頂けませんか?」
本来なら自分が脅されても良い様な立場なのに、すぐに白旗を上げ交渉に切り替えた言葉を出す様子に、始めこそ虚を突かれた様な表情を見せたものの、その顔はすぐに変わる。
「ブッ…ブハハハハハハハハ!」
豪快に笑うその様に、子どもは目を大きくさせ、サナは無表情のままそれを見つめていた。
「ククク、なるほど…何で子どもがいるか分からんかったが…困る、ねぇ…。」
ちらりと子どもを見てから、もう一度サナへと視線を戻す。
「何が出せる?」
交渉に応じてくれそうだと思い、とりあえず言えるだけ言ってみる。
「金品、宝石、食料、スパイス…その子を解放してこちらに預からせて頂けるのであれば両手いっぱいの箱に入れて十個程でしょうか。」
まずは人質の解放から、それを強く訴えて具体的な数字を入れて交渉した。
そうだな、と呟いた男はスラリと鞘に納めていた短刀を抜き子どもを縛っている紐へ当てる。
「そりゃあ魅力的な商品の数々だ、食料はいつもねぇし、金品も金に換えられるなら生活に困らねぇ…そんで、一番魅力的なのは。」
ぐっと力を入れて紐を切った、その後。
そのまま、子どもの背中を切りつけた。
一つの悲鳴が上がったその中で、ぽつりと言葉が出る。
「弱い弱い奴の出す、情けねぇ声だ。」
しかし、まだ油断ならないとすぐに真剣な顔に戻り、声を上げる。
「どこ、どこにいるの!?」
船医室、武器倉庫、鍛錬室、船長の部屋…近くの所からしらみつぶしに声を掛けるも、子どもが出て来る事は無い。
それでも諦める訳にはいかないと、まだ探していなかった子どもの寝室へドタドタと大きな足音を出しながら、そこへ行くと扉が開いていてすぐに駆けこむ。
「うーッ!うーッ!」
「…あ゛?」
そこには手足を縛られた子どもと鍛え上げられた筋肉を身に纏った男がそこにいた。
「このボロ船の乗組員にしちゃあ面が良い男が乗ってるもんだな。」
男は目の前に現れたサナに臆する事無く、悠然とした態度を取っている男を掛けられた言葉に返す事無く、サナは無言でまじまじと観察した。
(これまで襲ってきた男達と比べても身なりが整っている…腰にある銃や武器も明らかに良い物、あきらかに頭か幹部クラスといったところでしょうか。)
砲撃をしてからここまで一人で侵入してきたのだろうとそこまで考えて背筋に冷たいものが走る、戦ってはいないもののその態度と恰好がすべてを物語っていた。
自分では勝てない、と。
ならば、とサナは別の選択肢を提案してみる。
「―欲しいものは何ですか?」
両の手を上げて降参の意を伝えてみると相手は「はぁ?」と答えた。
「その子を連れて行かれては困ります、金目のもの、食料、薬…あるものは渡します、だから返して頂けませんか?」
本来なら自分が脅されても良い様な立場なのに、すぐに白旗を上げ交渉に切り替えた言葉を出す様子に、始めこそ虚を突かれた様な表情を見せたものの、その顔はすぐに変わる。
「ブッ…ブハハハハハハハハ!」
豪快に笑うその様に、子どもは目を大きくさせ、サナは無表情のままそれを見つめていた。
「ククク、なるほど…何で子どもがいるか分からんかったが…困る、ねぇ…。」
ちらりと子どもを見てから、もう一度サナへと視線を戻す。
「何が出せる?」
交渉に応じてくれそうだと思い、とりあえず言えるだけ言ってみる。
「金品、宝石、食料、スパイス…その子を解放してこちらに預からせて頂けるのであれば両手いっぱいの箱に入れて十個程でしょうか。」
まずは人質の解放から、それを強く訴えて具体的な数字を入れて交渉した。
そうだな、と呟いた男はスラリと鞘に納めていた短刀を抜き子どもを縛っている紐へ当てる。
「そりゃあ魅力的な商品の数々だ、食料はいつもねぇし、金品も金に換えられるなら生活に困らねぇ…そんで、一番魅力的なのは。」
ぐっと力を入れて紐を切った、その後。
そのまま、子どもの背中を切りつけた。
一つの悲鳴が上がったその中で、ぽつりと言葉が出る。
「弱い弱い奴の出す、情けねぇ声だ。」
