第15章

言葉を交わす事が出来ない日々が続く中、それぞれが子どもと関わりそれなりの交流を深めてゆく。
「うー、ううー。」
ずっと床で食べていた子どもはサナが作った子ども用の椅子に座り、たまにテーブルを汚しながらも海賊達と一緒に食事を取る事が出来るようになった。
「おーおかわりな。」
子どもからの言葉にノイはすぐにご飯を追加すると満足そうにすぐ食べだす。
「…何で分かるの。」
「何となく。」
基本的にサナは子どもに対して躾役に回る事が多く本人からは避けられてしまい、あまりコミュニケーションが取れない。
同じく苦手を思われているのは今食堂にはいない見張りに行っているメソドで、船長曰く「いつも薬の匂いさせてて、毒の事思い出しちまうんじゃねーか?」との事。
結果的に好かれているのは、特に何もしない船長と、ひたすらご飯を出してくれるノイに子どもは近くにいる事が多い。
「やっと服着て貰える様になったのは良かったけど…まだまだね。」
最近やっと慣れてきた女性言葉に、ノイは態度を変える事無く答える。
「焦るこたぁねーだろ。」
つっけんどんな対応ではあるが、子どもにおかわりをまた勧めるその様子にサナは呆れた様子で見つめた。
「…甘過ぎるのもどうかと思うわよ、ふっくらしてきたけど。」
「いいんだよ、ガキは食っても。」
腹減ってる方が問題だろうが、と言う料理人に船長にも意見を貰おうかと視線を変えるも、その先にはやはり寝ているその姿が確認される。
「…全くどいつもこいつも。」
すると、伝声管に付いているベルが鳴り、子どもは一瞬でテーブルの下に潜り、大人達は瞬時に立ち上がった。
船長が伝声管を取り、メソドからの言葉を受ける。
「賊が来たってよ…各自持ち場に着いてくれ。」
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