第1章(後編)
「電話があるのは、領主を除いて島の中であたしたちの家だけなんです。」
そう言って、マツリは船長、サナ、ノイを家に連れてきた。
電話で通報する
ガーナとメソドは夕方になったという事で先に船に戻っていった。
「悪いね~。」
「…それは、こっちのセリフです。」
先頭を歩いていたマツリはくるりと振り向き、3人に向かって頭を下げた。
「…本当に、ありがとうございます、それとこれまでの数々の非礼すみませんでした。」
丁寧に言葉を紡ぐマツリに、船長たちは動きを止める。
「良いことをしようと思ってしたわけじゃないしな~。」
「まぁそうですね、わたしたちは貴方の我がままに付き合わされたに過ぎませんし。」
「確かに。」
「え~、ここにきてまた悪口言われるの…。」
げんなりとして話す船長とまだ文句が言い足りないのか2人は不服を言い始めた。
その様子をマツリはポカンとした顔で見ていた。
今まで対峙してきた人物たちと同じ人物だとは思えない程、その様子はギャップがあった。
(この人たちが問題を解決してくれたんだよね…?)
他愛のない言い合いを見守りながら、マツリは驚いた顔から自分でも知らないうちに微笑みに変化させていた。
「…はい…はい、それではよろしくお願いします。」
そう言って、船長はガチャリと受話器を置いた。
「何て言ってました?」
「明日には派遣してくれるってさ。」
意外と早く出立できそうだと、船長は満足そうだった。
「そうですか…。」
すぐ近くにいたムマジが船長たちに頭を下げた。
「詳細はマツリからお聞きしました、ありがとうございます。」
「いえいえ、そんなお礼なんか…。」
とここまで言って船長は思い出したように手を叩いた。
「そういえばマツリちゃん、俺との約束忘れてないよね?」
「あっ…。」
今まで忘れていて、マツリはハッとした。
「えっと…。」
マツリの様子に船長は首を傾げた。
「…言いたくない?」
うーんとマツリは首を捻ると決意したように、船長に言った。
「…言います、でも2人っきりがいいです。」
「お、女の子にデート誘われちゃった。」
茶化して後ろの2人に言うと、冷たい目で見返された。
「犯罪で捕まるぞ、捕まれ。」
「同意です。」
「ちょっと、冗談だって。」
ムマジはそっとマツリの様子を伺った。
「大丈夫か?」
「…平気だよ。」
そっと話し、にこりとマツリはムマジを見返した。
