第15章
この子どもが海賊達の船に乗る事になってから、一週間後。
「……………無理。」
船の医務室でサナは低い声で呟くのを、傍らでメソドが試験官を清潔な布で拭きながら静かに聞いていた。
「子どもくらいって思っていたら、本当に動物みたいで…トイレの場所を教えたつもりなのにあちこちでするし、風呂に入らせようとするとギャーギャー喚くし、長い髪を切ろうとすると寄ってこないし、服を着せようとしても着ないだころか裸のままでいるし、そもそも言葉が通じないし向こうも話さないし…何なのもう…。」
迎え入れてからの一週間、元からノイや船長に対する怒りの言葉を発していたサナが、それを上回るくらいに子どもに対しての悲鳴や説教を連発させている。
それでも、ずっと怒り続けていて疲れてしまったのか、しっかり休めるこの医務室へ逃げてこうして愚痴を吐いていた。
「…あそこまでいくと、耳が聞こえていない可能性もあるな。」
「やはり、そうなのでしょうか…。」
二人が話す様に、子どもは確かに異常だと言われても仕方のない様な行動を繰り返している。
サナが言葉を零した様に行動がまるで獣のそれで、マーキングするかのようにあちこちに尿を撒き、清潔面を一切気にする事無く汚れているのが当たり前な状態が続き、言葉で説明しようとしてもそれを全く理解せず、唸り声や吠える様な声しか出さない。
「どんな経緯を辿って売られたかは分かりませんが…確かにあれだけの子を育てるのは親が二人いたとしても難しそうです。」
どうしたものかと眉間に刻まれた皺をより深くして悩んでいるサナに、メソドは意外そうな顔を向ける。
「―何だ、捨てようとは思わないのか。」
その一言に一瞬ピクリと顔を固めるも、すぐに全身の力を緩め答えた。
「それを言ってしまうとね…わたし自身親に見捨てられた様なものですし、それに。」
本当に、本当に遺憾だとばかりにぼやく。
「一番懐かれている奴が、本当のみなしごなのだから…そんな選択出来ませんよ。」
「……………無理。」
船の医務室でサナは低い声で呟くのを、傍らでメソドが試験官を清潔な布で拭きながら静かに聞いていた。
「子どもくらいって思っていたら、本当に動物みたいで…トイレの場所を教えたつもりなのにあちこちでするし、風呂に入らせようとするとギャーギャー喚くし、長い髪を切ろうとすると寄ってこないし、服を着せようとしても着ないだころか裸のままでいるし、そもそも言葉が通じないし向こうも話さないし…何なのもう…。」
迎え入れてからの一週間、元からノイや船長に対する怒りの言葉を発していたサナが、それを上回るくらいに子どもに対しての悲鳴や説教を連発させている。
それでも、ずっと怒り続けていて疲れてしまったのか、しっかり休めるこの医務室へ逃げてこうして愚痴を吐いていた。
「…あそこまでいくと、耳が聞こえていない可能性もあるな。」
「やはり、そうなのでしょうか…。」
二人が話す様に、子どもは確かに異常だと言われても仕方のない様な行動を繰り返している。
サナが言葉を零した様に行動がまるで獣のそれで、マーキングするかのようにあちこちに尿を撒き、清潔面を一切気にする事無く汚れているのが当たり前な状態が続き、言葉で説明しようとしてもそれを全く理解せず、唸り声や吠える様な声しか出さない。
「どんな経緯を辿って売られたかは分かりませんが…確かにあれだけの子を育てるのは親が二人いたとしても難しそうです。」
どうしたものかと眉間に刻まれた皺をより深くして悩んでいるサナに、メソドは意外そうな顔を向ける。
「―何だ、捨てようとは思わないのか。」
その一言に一瞬ピクリと顔を固めるも、すぐに全身の力を緩め答えた。
「それを言ってしまうとね…わたし自身親に見捨てられた様なものですし、それに。」
本当に、本当に遺憾だとばかりにぼやく。
「一番懐かれている奴が、本当のみなしごなのだから…そんな選択出来ませんよ。」
