第15章

「しん…っじられない!」
治安の悪いとある島の海岸にて。
明日出航するから最後に買い物をと出て行った船長が、何か大きな荷物を背負って帰ってきたと思ったら、何を血迷ったのか生物を大金で買ったと自慢げに話してきた彼に対し、当時から船の財布を守っていたサナは怒りの声を出す。
「前の島ではボロボロな大量の古本、その前の島ではガラクタみたいな昔の道具の数々…この前は無人島で宝を見つけてきたと思ったら傷だらけの食器持ってきた癖に…ッ!」
こめかみから今から血を吹き出しますと言わんばかりにピキピキと浮き出ていて日頃サナの苦労が如実に表れている。
「そもそも、人数的には間に合っていても、船なのだから持てる荷物も限られております!貴方の所有物だとしても、もう少し整理整頓して頂けないと物でこの船が沈んでしまいます!!」
くどくどと大きな声で責め立てるが、本人はものともせず口笛を吹いて誤魔化している。
それが反ってサナの怒りを煽る事にしかならないのだが、また別の怒りがサナを襲う。
「おい、飯出来たぞ。」
「この状況で食えるかッ!」
呑気に食事の時間を教えに来たノイはとばっちりの様に怒られるが、彼も「いつものか。」と呟くだけで、特に響いてはいない。
彼も彼でサナにしょっちゅう怒られている人間なので、もう慣れてしまっているといった様に船長にも声を掛けようと目を向けると、その隣でもぞもぞ動く袋に気付く。
「…何の動物だ?」
「うーーーーん…さぁ?」
買った本人の癖に、煮え切らない態度で答えられ、ノイは首を傾げるも、そもそも船長は意味分からない言動や行動をする人物なので、まあいいかと思考を切り替える。
「男4人分は用意出来ているが、コイツのはまだ出来てねぇぞ。」
「ちょっと!まだ迎えるなんて言って―ッおい!」
サナは言いかけるが、ノイが袋の口を開けようとする仕草を見て止めようと腕を伸ばす。
しかし、もっと近くにいるはずの船長もその動きを止めようとはせず、結果。

シュルリ、と。

その封が解かれた。
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