第1章(後編)


ナンチ―島の領土の法律は、こう記してある。

『不正な政治をしている者は住民からの意見書をもって、裁かれる。』

「つまりだ。」
船長が島民の前に立ち、説明を始める。
「まずこの事を知っている島民はいるか?」
法律の言葉を知っている者がいるか船長は確認したが、誰一人として手を上げる者はいなかった。
「このことは領主側から島民に教える義務がある、教えなかったという事はアンタたちの逃げ道を隠したことが言える。」
その言葉にその場がざわめくが、船長は更に言葉を続ける。
「この島には、学校はないよな?」
「えっ、あ…はい。」
マツリが答えると、船長は満足げに頷く。
「他にも法律で設置すべき施設がこの島には揃えられていない、これはアンタたちを情報弱者にしようとする意図が見える。」
「じょ、情報弱者って…?」
「簡単に言えば、さっきみたいな便利は法律を知らない状態ってこったな。」
その他にも船長はこれまでの領主による政治がどれほど酷いものだったかを島民に説明し、そして島民は意見書を書いていった。

「怪盗…マツリちゃんのことは伏せて、これまでの政治についての不満とかを書けばいいから。」

その他にも様々なアドバイスをしながら時間が経過していった。
20/26ページ
スキ