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第14章

船長が登るルートをよく見ておく様にと言われ、マツリはしっかりと見ようとする、が。
「んっと…ここ、で…次っ。」
一番最初、しかも初めて登る崖であるはずのそこを難無く登って行く。
そこそこ高い場所にあるのにも関わらず、すぐに登り終えてしまった彼を見て、彼女は呆然としていた。
「…あれは特殊だから。」
しゅるりと上から投げられた命綱が落ちてきて、メソドはそれを掴みマツリへ渡す。
「君は完全に初心者だから…落ちてもオレかノイが拾うから先に行って。」
なるほど確かにそうだ、とマツリは頷き内心緊張しつつもそれを握る。
「途中下見るなよ、止まるから。」
「はい!」
ノイからのアドバスも受け、マツリは初めて登る崖に一歩近付いた。

下から見守られているのと、上からしっかりロープを持ってくれていた事もあり、時間こそ掛かったものの、無事に登り終える事が出来たマツリは、登り切った後体で息をしている。
(こ、怖かった…途中何度も下を見ようかと思ったけれど、見たら確かに動き止まっていたかも…。)
多少ノイに鍛錬して貰っているとはいえ、それでもまだ成長途中なのだと感じた。
「おーい、一応ロープ引っ張ってー。」
今はメソドが登っていて念の為来て欲しいと言われ、彼女は慌てて船長の体に巻き付いているロープを握る。
暫くすると、メソドは顔色一つ変わらないまま崖を登ってきた。
「お疲れ様、メソドきゅん。」
どうも、とふざけた言葉に対して冷ややかに接する彼だが、よく見ると汗がこめかみから流れている。
「メソドさん、飲み物要りますか?」
「いや、まだ大丈夫。」
確かに近くに綺麗な水が流れる滝があるし、暫くなら大丈夫か…とマツリは飲み物を出しかけていたのを引っ込めた。
「よし、じゃあ待たせる訳にもいかねぇし…先を急ぐか。」
やっと崖を登り切った海賊達を離れた所で見ていたディーアが先へと移動し始めたのを見て、彼等もそれを追う。
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