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第14章

「ここに念の為持ってきた綱がありまして、と。」
サバイバル道具が入れてあるという船長の鞄から取り出されたのは、マツリにも見覚えのある物だった。
「あたしを縛った縄ですね、懐かしい…。」
そう、様々な用途に使う頑丈な縄で、それを船長は自分の体に巻き付ける。
「とりあえずの命綱ってね。」
「しなくても貴方はそのまま問題無く登れるでしょう。」
さらりとメソドがとんでもない事を言うが、船長はいやいやと首を振った。
「俺だけ行ってもしょうがいないでしょ…先に登るから、この綱の尻尾を掴んでお前らは登りにおいで。」
あ、それと…とノイを指差す。
「申し訳ないけど、ここに残れ…帰りに下で受け取って貰える人間が欲しい。」
うす、と返事をするノイに船長は鞄から一部非常食とナイフを渡した。
「もし危険な事が起きれば、リンリン草でサナにでも連絡してくれ…ガーナの事があるし、動物に襲われる事は無いと思うがな。」
「…襲われたら、アイツに文句言うんで。」
なるほどその方が良い、と船長は笑う。
「一応一日は過ぎないと思う…が、遅くなりそうなら連絡する。」
リンリン草の使用期限は一日、それが過ぎればただの草に戻り連絡が出来なくなる為、船長はここで念を押す。
「以上だ、聞きたい事は?」
ここで暫く別れるので、船長はノイに問うと、少し考えてから彼は口を動かした。

「アイツ…ガーナに、暫く菓子はやらんって言っておいてくれ。」

一瞬その目を開いた船長だったが、すぐに吹き出す。
「く、くく…りょーかい。」
では、とノイを残して、三人は崖を登り始めた。
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