第14章

船長からの言葉を貰っても釈然としない様子のマツリ以外は、何度か同じ事を体験しているのか訳知り顔をしている。
「…ま、本人に聞きなさいな。」
サナに言われマツリはゆっくりと頷くが、その顔はやはり曇っていた。
とりあえず、と船長は口を動かす。
「呼ばれたとはいえ、アイツに危険が無いかと言われればそうでもない…お迎えは必要だな。」
パチンと指を鳴らし、彼は声を上げる。
「はい、じゃあ無人島に行きたい奴この指と~まれっ。」

話し合った結果、サナは船に残り他のメンバーは無人島へ足を踏み入れる事となった。
人が踏み入れない場所故に、道は無く生えている草をかき分けながら彼らは進む。
「う…わ、虫が…。」
いるとは分かっていても苦手な存在であるものに、マツリはつい顔を顰めてしまう。
自分の顔に寄ってきたので追い払っていると、後ろから声を掛けられる。
「おい、あんまり顔掻くなよ。」
たまに毒虫もいるかもしれないから、無闇に刺激するのは良くないとメソドに注意された。
頭では分かっているつもりだが、渋い顔で「…はい。」と答えてしまうマツリに先を歩いている船長は笑う。
「ウケる、メソドきゅんマジ小姑だ。」
「転びますよ、薬のストック減らしたくないので前向いて下さい。」
揶揄われるが一向にその姿勢を変えないメソドの後を歩くノイは、歩いてきた道を見失わない様ロープを木に巻きつけながら話す。
「…しかし、今回は何で呼ばれたんだろうな。」
その声にマツリが反応を示す。
「あの、ノイさん…これまでにガーナちゃんがこういった行動を起こす事ってあったんですか?」
「あった。」
すぐに答えるノイの表情に、これまで振り回されてきたんだろうなと感づいてしまう程の苦労の色が見える。
「一応アイツも言われた願いをすべて叶えるつもりはねぇみてぇだが…それでも、面倒な事になった事もある。」
「例えば?」
そうだな、とノイが自分の顎鬚を触ったその時だった。
先頭を歩いていた船長の動きが止まり、後ろにいる海賊達へ合図が送られる。
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