第13章

「―――それで?」

次の日の夕方、ノイはまたサナの部屋に来ていた。
「ああ、答えるのが嫌なら答えなくていいんだが…。」
昨日の自分の発言の事を一日中考えていたらしい。
サナとしてはもういいから前の様な距離で付き合っていたいのだが、向こうとしては自分が性の価値観で苦しんでいると覚えられたらしい。
「お前は結局、どっち扱いして欲しいんだ?」
「…女か男か、ってことですか?」
もう諦めたというように気が抜けた声でサナは尋ねると、相手はこくりと頷いた。
「それが分かったら、ストレスを感じなくなるんじゃないかと。」
一応真剣に自分の事を考えてくれたようで、真っ直ぐなその瞳は前よりも感情が見える気がした。
「…貴方に対しては、女…でしょうか?」
別に裸を見て意識しているわけでは無いのだが、ガサツに男同士として付き合うよりも、女扱いされている方がまだマシな気がする。

「そうか…じゃあ、話す回数を増やすか。」

何のことを言っているのか分からなくて、眉間にしわを寄せる。
「今日から俺の前でだけ、女言葉で喋ってみたらどうだ?」
ますます分からなくて口もへの字に変形する。
「え…貴方が私を気遣うのでは無く??」
おう、と一点の曇りもない水色の瞳が自分を捉えた。

「どっちか分からないって言うのなら、いっそどちらかになりきってみるのはどうかと考えてな。」

すぐさまふざけんな!とまたいつもの応酬が始まったのだが、これ以降本当に話す時間を設けられて仕方なしにサナはまずは3ヶ月の期限を設けて挑戦してみることにしたのだった。
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