第13章
荒々しい音と共に入ってきた侵入者は、こちらにはまだ気づいていないようだった。
「…薬か。」
瞬時にどんな部屋か分かった様子で、適当に部屋を荒らし始めた。
麻薬でも探しているのかと思ったが、単純に売れるものかどうか見ているらしい。
がさごそと持っている袋に詰められてゆく薬は決して安いものだけでは無かった。
(…人数が思ったよりも多かったのか。)
人数の事があり、どうしても抜け穴が出てしまうのは仕方がない。
けれど、今のサナは自分を守る術は持ってはいなかった。
護身用に持っている見た目だけは立派ななまくらのナイフがあるくらいだ。
(さて、どうする?)
相手は男一人、図体は大きく見るからに自分が劣勢。
行動を起こして負傷するよりはこうして息を潜めていた方が良いとは思う。
向こうはこちらに目をくれてもいない、ならば。
「そこに誰かいるのか。」
低い声が鼓膜を叩いた。
すぐさま身を低くしたのだが、カーテンがレイピアで引き裂かれた。
「両手を上げて出てこい。」
言われるままにサナは両手を上げて出てくる。
ジロジロを纏わりつくような視線は値踏みされていることを如実に表していた。
ひりつくような緊張感の中、相手はにたりと笑う。
あ、これは知っている。
脳裏に自分の記憶が走り始めた。
「娼館にでも売れば、高くつきそうだ。」
自分を商品として定める瞳、下劣な表情。
「わざわざベッドの所で、襲われるのを待っていたのか?」
ししどに濡れた自分、赤く鮮烈な傷。
自分から声を発することも忘れる、視界が勝手に暗くなる。
「何とか言えよ。」
そのまま後ろのベッドへ押し倒される、と確信した。
ゴギリッ
その数秒、重い音で意識が戻る。
目の前の男は視界から失せたと思ったら下に転がっていた。
代わりに、目の前に現れた金髪の大男は転がった男の胸ぐらを掴むと窓が締まっているのにも関わらず硝子を割って外へ放り投げた。
周りに硝子が飛び散り、投げたノイの頬にも掠り傷が出来るが、それも意に関さずにこちらへ視線を向ける。
「何で抵抗しなかったッ!?」
それまで小さな声しか聴いたことが無かった為に余計に驚く。
言い返そうと喉を機能させようとしたが、全く動かない。
サナのあからさま過ぎる動揺した様子に察したのか、いつもの強面を更に厳しくさせた。
「まだ全員落としていない…俺は上に戻る、今度は自分の身を守れ。」
必ず、とすぐに彼は走り去ってしまった。
ようやく喉に唾を通すことの出来たサナは散らばっている硝子にも気を留めずにその場へへたり込む。
「何で、抵抗しなかった…?」
どこにも行き場の無い感情が自分の胸の内を占めていった。
「…薬か。」
瞬時にどんな部屋か分かった様子で、適当に部屋を荒らし始めた。
麻薬でも探しているのかと思ったが、単純に売れるものかどうか見ているらしい。
がさごそと持っている袋に詰められてゆく薬は決して安いものだけでは無かった。
(…人数が思ったよりも多かったのか。)
人数の事があり、どうしても抜け穴が出てしまうのは仕方がない。
けれど、今のサナは自分を守る術は持ってはいなかった。
護身用に持っている見た目だけは立派ななまくらのナイフがあるくらいだ。
(さて、どうする?)
相手は男一人、図体は大きく見るからに自分が劣勢。
行動を起こして負傷するよりはこうして息を潜めていた方が良いとは思う。
向こうはこちらに目をくれてもいない、ならば。
「そこに誰かいるのか。」
低い声が鼓膜を叩いた。
すぐさま身を低くしたのだが、カーテンがレイピアで引き裂かれた。
「両手を上げて出てこい。」
言われるままにサナは両手を上げて出てくる。
ジロジロを纏わりつくような視線は値踏みされていることを如実に表していた。
ひりつくような緊張感の中、相手はにたりと笑う。
あ、これは知っている。
脳裏に自分の記憶が走り始めた。
「娼館にでも売れば、高くつきそうだ。」
自分を商品として定める瞳、下劣な表情。
「わざわざベッドの所で、襲われるのを待っていたのか?」
ししどに濡れた自分、赤く鮮烈な傷。
自分から声を発することも忘れる、視界が勝手に暗くなる。
「何とか言えよ。」
そのまま後ろのベッドへ押し倒される、と確信した。
ゴギリッ
その数秒、重い音で意識が戻る。
目の前の男は視界から失せたと思ったら下に転がっていた。
代わりに、目の前に現れた金髪の大男は転がった男の胸ぐらを掴むと窓が締まっているのにも関わらず硝子を割って外へ放り投げた。
周りに硝子が飛び散り、投げたノイの頬にも掠り傷が出来るが、それも意に関さずにこちらへ視線を向ける。
「何で抵抗しなかったッ!?」
それまで小さな声しか聴いたことが無かった為に余計に驚く。
言い返そうと喉を機能させようとしたが、全く動かない。
サナのあからさま過ぎる動揺した様子に察したのか、いつもの強面を更に厳しくさせた。
「まだ全員落としていない…俺は上に戻る、今度は自分の身を守れ。」
必ず、とすぐに彼は走り去ってしまった。
ようやく喉に唾を通すことの出来たサナは散らばっている硝子にも気を留めずにその場へへたり込む。
「何で、抵抗しなかった…?」
どこにも行き場の無い感情が自分の胸の内を占めていった。
