第13章

上で騒がしい音が響いている。
恐らく、船長とメソドが襲ってきた賊に対応しているのだろう。
(乗ってきた船の大きさからすると、そこまで大所帯では無い…大砲とか撃ってこなかったし、そこそこくらいのレベルか。)
サナは非戦闘員だ。
元々、男娼をしていて厄介な客に囲まれそうになった際に船長に助けてもらい今があり、サナが船長に対して文句が言いにくいのもこの辺りが起因している。
それまでの経緯から話術やピッキング、逃げる能力は秀でているのだが、戦うという選択肢はサナの脳内には無い。
自分がこの船の中で非力な存在であるということを知っているからだ。
それに加えて、今上で交戦している二人は自分など比較しなくても十分強い。
最初は二人だけで航海をしていたことは信じられなかったのだが、行動を共にしている内に分かってきた。
だから自分に出来ることは。
「足手纏いにならないように、身を隠すこと。」
自分に言い聞かせる為に、今一度声に出して確認する。
それが最善、それが利口な行動だ。
すると、こちらに向かってくる音がだんだん近くなってきた。
誰か来たのだろうか、と医務室のベッドの影にサナは身を潜める。

乱暴に開けられる音が示すのは、敵襲の合図だった。
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