第13章

「だから何度同じ事を言えばいいのですか、貴方は!」

重力は確かに存在するというのに、髪の毛が勝手逆立っているような感覚。
それは、明確な怒りだった。
しかし、それを受けられた当人はというと。
「すまん。」
濡れた顔をタオルで拭いながら言い訳もない謝罪を述べる。
それは、最初ならば真摯な対応として評価されるだろう。
「学習しない人に言われても効果ありません!」
今怒られている男はこの前ひょんな事から海賊に加入する事となった男のノイという人物だった。
金髪の髪に、碧眼の瞳、平均と比べ些か…いや、かなり強面の顔をした人物だった。
加えて、海賊に入る前は筋肉質ではあったが、痩せていたのに最近満足な食事と運動を行ってきたら体格も高身長に適うものとなってきた。

それは、裸である今がより確認出来る状態であった。

その点が赤くなっている人物、サナが指摘しているところだ。
「大体…全部拭き切れていないじゃないですか、足跡までくっきり残っていますよ!」
「後で掃除する。」
「風呂が無かった生活が長かったからって、裸でうろうろしていいなんて言っていません!」
「だから気を付けるって。」
何度言葉の応酬をしてもキリが無くて、今日も結局サナの「もういい!!」で会話が終わった。
ずかずか歩くサナの耳にこんな一言が聞こえた。

「…別に、同じ男だから問題無いじゃねぇか。」

サナは一般的に美形と呼ばれる部類だ。
その容貌は時に便利で、そして自分を振り回すものだった。
整った顔に白い肌、肌触りの良い紅いの髪。

同じ男、か。

「そんな簡単に割り切れたらいいのに。」
感情的になりすぎているのか、自然と言葉は外に出てきた。
体の内から出てきたのに、心は軽くならなかった。
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