第13章

自分の生まれ故郷ではないのに、遠ざかっていくファンシーな島をどことなく寂しさを抱えながらサナは船の後ろの位置から見ていた。
「…本当の故郷には、こんな事しなかったのにね。」
苦笑交じりに呟く言葉と共に、自分の師との記憶を思い起こす。
『あの時、ここにいてってお願いした事…今でも変わっていないと言ったらどうする?』
確かにシィーのお陰で今の自分がある、それでもサナは断った。
それは、自分の居場所を見つける…という野望と、もう一つ。

昔に起こったある出来事が、サナをこの船に繋ぎとめていた。
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