第12章

結局海賊達の出る幕も無く、盗人達はお縄についた。
集まっていた人だかりは、自体が収束したと分かり徐々に消えてゆく。
助けを出してくれたリンに、警官達は感謝を言いながら犯人達を連れて行き、それに対して役人は投げキッスで返事をしてから、海賊達の方へ振り向いた。
「お騒がせしちゃってごめんなさいね♡」
「いえ…無事に終わって良かったです。」
確かに船長が話したように、急いでこちらに行かなくても大丈夫だったなぁと遠い目をしながらマツリは言葉を返す。
「じゃあ、そろそろ船に戻るか…メソドも待っているだろうし。」
そこで3人が動き出そうとすると、リンから待ったの声が上がる。
「あ、ノイちゃんは待って!」
「…事も終わったし、取り調べも終わったと思うんだが?」
うんとね~とリンは笑顔で告げた。

「そろそろサナちゃんがこっちに着くから、ノイちゃんを捕まえてって言われているの♡」

すぐさま逃げ出そうとするノイに、先程の鎖がその足に絡みつく。
「職権乱用だぞ!!」
「しょうがないじゃない…この島の未来の為なんだから♡」
唐突な出来事にマツリが戸惑っていると、船長がその肩を掴んだ。
「さ、呼ばれてねぇし俺らは先行くか。」
「見捨てんな!」
あっさりと見放そうとする男に声を掛けるも、じゃらりといつの間にか更に絡まっている鎖が阻む。
「先に船長さんとお嬢ちゃんが来ちゃったけど、先にノイちゃんの身柄を確保した時、先生の所に居るかなって連絡したら当たったのよね…そこから伝言を受けたから、大人しくしてて♡」
先生のお宅、遠い所にあるからすぐ連絡出来るよう電話が置いてあるのよ~と穏やかに話すも、あれよあれよという間に鎖が体に巻き付いたノイがリンの足元に転がっていて、奇妙な光景となっていた。
「あの、船長…本当に大丈夫なんですか?」
「大丈夫、大丈夫。」
そのまま歩いていこうとした先、あの人物が現れる。
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