第12章

「船長~!」
後ろから呼ばれたと思えば、先程置いてきたマツリが息を切らしながらこちらにやってきた。
「お、思ったより早くこっちに着く事が出来たな。」
感心感心と彼は頷くも、少女の表情はかなり険しい。
「こっちは必死でしたよ…この目が無かったら迷子確定な場所に置いて行かれて!」
あれから船長から預けられた重い荷物を持ち、なるべく早く場所を移動しようとその能力をフル活用して彼女はようやくここに到着する事が出来たのだ。
「悪かったって…でも、体力上がったよな。日頃の鍛錬の成果きっちり出たんじゃない、ねー先生?」
船長の言葉でやっとそこにノイの存在を把握する事が出来たマツリだが、その姿を一切見ていなかったので、明らかな動揺の感情が顔に出てしまう。
「ノイ、さん…そのお姿」
「見るんじゃねぇ。」
島に行きたくないと主張していた真の意図がやっと分かり、マツリは口を閉じ素直にそっと目を横に背けた。
「クッソ、だからこの島は嫌なんだ…。」
「あら~アタシとしてはその服大好きだけど…普段は野暮ったい服ばっかり着ているんでしょ、この島に居る間だけでもいいじゃない♡」
良くは無いと思ってはいるものの、今この場でそれを言ってしまえばたちまち形勢逆転されるのが目に見えたのか、ノイは黙る。
「…えっと、ノイさんがここにいるという事は、事件は解決したんです?」
そういえばそもそもの本題について、マツリはその場にいる大人達に聞く。
「半分は、とりあえずコイツがとっ捕まえてくれたお陰で盗人はどうにかなったが、他にも仲間がいるかもしれないという事で、今は調査中って所だな。」
なるほど、とマツリが返した所で遠くの方から大勢の足音が響いてきた。
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