第1章(後編)
「な、んだ……これは………!?」
ヒュース達がいるのはこの屋敷の物置部屋だった。
そこには盗まれて無かった宝たちが山のように積み上げられている。
(おかしい…今まで盗まれた物がすべてここにあるだと!?)
「ふむ…。」
後ろから聞こえた警察の声にヒュースは我に返った。
「あ…これは私の家宝です、素晴らしいでしょう?」
素直に伝えると、自分が疑われると思いその場しのぎで取り繕うように話すが、それは遅かった。
「先ほどおっしゃったことはどういう事でしょうか?」
「先ほど…とは?」
「『なんだ、これは?』と聞こえたものですから。」
「ご冗談を…。」
言い訳を言おうとしたが、警察はつかつかと宝の方へ歩み寄った。
「すみません、調査させてらいますね?」
「だっ、駄目だ!」
静止の声を無視し、警察はとある絵画を手に取った。
「これは、貴方の家宝なんですよね?」
「そうだ、だからはな―――――」
「なのに何故、ここに『エリー様へ』と書かれているのでしょうか?」
盲点を突かれ、ヒュースは愕然とした。
「絵画にサインは付き物です、贈り物なら尚更…なので絵画を贈る相手の名前を書くのは当たり前のことと言えますが、この名前…ヒュースではありませんね。」
「…そ、そうだ、それは…親戚から預かって」
「では、こちらの絵画はなんと書かれているでしょうか?」
「…そ、それも…。」
「あと、私たち盗まれた物の特徴も聞いてきたのですが、これらそれに当てはまるんですよ…。」
「ち、違う…そんな」
「調査させてくださいね?」
止めの一言を言うと領主はタガが外れたように警察の行動を止めようと走り出したが、首元に何か冷たい温度が伝ったと思った瞬間気を失った。
