第12章

思わず息をする事も忘れ、凝視してしまう。
ただ庭造りの一環としてこの光景を人の手で作り出すのは、途方もない時間を要すると思われる。
この大き過ぎる足跡の型を作り、そして維持し続けるのは素人のマツリではそれだけの力を尽くせば良いのか分からない。
けれど、けれどこれは。
「―なんか視えた?」
マツリの様子に静かに見守っていた船長が声を掛ける。
背中に冷や汗が流れる感触を覚えながら、マツリは彼の方へ振り向いた。
「これは、何ですか?」
努めて冷静に口を開こうとするも、震える声に感情が伝わってしまったようで、聞き手は口の端を上げる。
「さっき言った通りだよ。」
これを読んでみろというように、先程一度手渡された歴史本を渡された。
言われるまま開いてみると、気になる項目を見つける。
「リリア島、巨人伝説…?」
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