第12章

どこからそんな体力が湧き出てくるのか毎度不思議だなぁと、肩に担がれていたのを「流石に恥ずかしいのでせめて負ぶって下さい。」と自己申告し、今は背中でしがみついているマツリは思う。
(男の人だから…というより、この人が異常な様な気がするけど。)
街中に戻るのかと思いきやシィーの店から奥深い森の中、更に何度か坂を登ってゆく。
足早に駆けてゆくその速度は、およそ常人が背負って、しかも重い荷物まで持って走れる速さでは無く、森の中にいるせいかマツリはまるで動物にしがみついている気分になってきた。
「そろそろ着くぞ。」
船長の足が徐々に遅くなり、目的地であろう場所で降ろされる。
「…ここは?」
見た所普通の森の一部ではと首を傾げる彼女に、船長は話す。
「もう少し歩けば、見えてくる。」
見れば分かるとでもいう様子で明確な答えは返ってこなかった、ならば答えを探しに行こうと彼女は船長の背を追う。
「足場わりぃから、気を付けな。」
じっと足元を透視能力で見てみると、すぐ崩壊する訳ではないが軟らかい土で構築されていて言葉通りだと頷く。
(これまでの島でもこんな感じの地盤は多かったけれど、ここは高い位置にある場所…高い場所だと固い地盤が多いはずなのに。)
マツリは考えながら歩いていくと、ドンッと船長の背中に当たってしまう。
「おいおい、下見ながら歩くとコケるぞ。」
「…すみません。」
謝りながら前を見ると、そこはこれまでとは違う景色が広がっていた。
「ここが…?」
そうそう、と船長は頭を縦に軽く振り告げる。
「この崖の上から見ると一望出来るからな―この“巨人の足跡”を。」
マツリ達のいる崖の下、そこに足跡の形がくっきりとある地面が確かにあった。
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