第12章

両の手にどこかで購入してきたのか、紙袋いっぱいの本を持ちやってきた船長は目当ての物を見つけたのかほくほくとした表情をしている。
「船長さん、よくここが分かりましたね。」
「お~…サナが目立っていたから、道行く島民の皆様に聞いてすぐこっちだって教えて貰えたから~。」
それでも大荷物で長い道のりを歩いてきたのは堪えたらしく、ドスンッと荷物をその場に下ろしてしまう。
「凄い本の量ですね…。」
「久し振りの本の山にテンションが上がっちまって~。」
「サナに見つからない内にかくさないと売りとばされるんだよ。」
作業をしながら告げられたズバリと刺さる言葉に船長の顔が少し引き攣る。
「…アイツは別の部屋にいるの?」
小さな声で問うその声に、マツリはこくりと頷く。
サナは本を集める事自体には反対はしていないのだが、彼らの乗る船は決して豪華客船の様な広さは持ち合わせていない、本棚のスペースや、本自体の手入れの是非を考えると、船に大量の本を持ち込む方が面倒になる事が多く、また本は量が多過ぎると、船への負荷が掛かり、船自体の歪みの原因となる事もあった。
「…まぁ、古本屋にはどうせ行く予定だったしな。」
それでも、周りを気にして彼の眼球は止まる事が無いその様子に苦笑しつつ、マツリは話を元に戻す。
「どうして船長さんはあたし達に会いに?」
「あ~それはね…。」
ごそごそと床に置いた紙袋の中を探し、出てきた一冊を見せ船長はこちらに笑いかけた。
「専門家であるお二人に見て頂きたいものがありまして。」
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