第12章

余計なお世話、とは思いながらも動き出した口は止まらず厳しい声を掛ける。
「客とはいえ、そんな横柄な態度…どうかと思うのだけど。」
その意見に、サナは眉間に皺を寄せシィーの方へ顔を向けた。
「―結局、この島はどこもそんな対応を取るのですね。」
手に取っていた商品を乱暴に元に戻し、そのまま店から出ていこうとする彼に、低い声が投げつけられた。

「仮にも貴族の血を有している者が、人に気遣って貰って当たり前という様な振る舞いをするものでは無いわ―アスタニアの坊や。」

去ろうとしていたその足が、急に戻りそのまま声の主へ拳が向けられる。
すぐさま横に控えていたリンがサナの腕を掴み、シィーへ向かっていたその速度をそのまま床へいなして、サナを組み伏せた。
「残念ねぇ、この島…武器は持ち込み出来ないから。」
ま、貴族の子ならひょろいのが当たり前か、と呟くリンに顔を床に押し付けられても睨みつける美形。
しかし、その顔には先程の不機嫌な感情は無く、額に脂汗が浮かび、呼吸は不安定、明らかな焦りの色が出ていた。
「…ッ、何で…それをお前が…!」
「会った事あるからよ、貴方と。」
しらっと言われ、サナは目を白黒させる。
「覚えていないのも無理は無い話だけど…最後に会ったのは、貴方が家に戻った歳くらいかしら?」
その発言だけで、自分がどんな人間か知られている事が伝わり、サナは目の前が暗くなった。
「…私が誰なのかはまずさておき。」
シィーは先程サナが手に取り、乱暴に扱った商品を手に取る。
「まずはこれ、貴方が触った商品…本来なら、触っても傷が付かないものよ―けれど。」
ひらりと裏に返すと、そこには明らかな皺が生じていた。
「適当に扱うとすぐにこうなるの…購入出来ない貴方は、どうすればこの商品を買い取る事が出来るのか。」
逃がさない、自分を見下ろすその瞳が言っているように美形は感じる。
「答えは簡単…体で返すの。」
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