第12章

時折人は通るものの、特にこちらを気にした様子は無く去っていくので気兼ねなく三人は座って足を休ませていた。
「いっぱい…とまではいかないけれど、ノイちゃんから携帯用のお菓子貰っているから、遠慮なく言ってね。」
その手の平には、出掛ける前に持たされたのであろうお菓子の数々が広げられていて、ガーナはすぐさま何個か貰う。
「じゃああたしも…。」
ガーナ程ではないが疲れを感じていたマツリも、サナから飴を貰い口に入れる。
「ん…やっぱり疲れには甘いものが効きますね。」
手作りで作られたべっこう飴は少女達の顔に再び笑顔にし、サナにも安堵の笑みが浮かぶ。
甘味で癒され頭が動いたのか、そういえばとマツリは気になっていた事を口にする。
「サナさんが服を作るときに仰っていた『再挑戦』って何だったのですか?」
「あ~それね…。」
サナは少し苦い表情を見せると、少しずつ話始めた。
「前にここへ入る時、とりあえず可愛いなら何でも良いんだろってヤケクソ気味になって…手を抜いた服を作っちゃったのよ。」
「え、サナが?」
ガーナが驚きの声を出し、マツリも目を丸くする。
彼女達にとって、サナは身だしなみを人並み以上に気にし、いつも整っている印象で、作っている服も、それに倣うかのようなきっちりとした仕上がりの物が多く、サナの発言は信じがたいものがあったのだ。
「その時のわたしは服作りに対して今より真剣じゃなくて、ただの小遣い稼ぎの一つとしか考えていなかったものだから…も~今のわたしが見たら耐えられないくらいの出来でね。」
昔の失敗を恥じるがあまり、サナの表情は歪む。
「あの時は関所の役人はリンリンじゃなくて別の人だったけれど…『とりあえずリボンやレースを付けとけば良いんでしょって魂胆が丸見えの乱暴な服』って酷評されてね。」
島の中には入れたものの、これまで受けてこなかった対応に戸惑いが隠せなかったと語る。
「元からファッションには厳しい島だったけれど、趣味に合わない服を着ているだけで引かれるというか…店の商品をおすすめされるならまだしも、店によっては入店する事が出来ない店もあったのよ。」
「え、さっきまで入っていたお店は全部入れましたよ!?」
「だから、再挑戦だったのよ。」
驚く彼女達を見つめ、サナは笑う。
「入店させてくれなかった店の店員達は一様に『貴方方に合った服装に叶う商品は此方にはありません。』って言ったけれど、今回は一切無かった。」
そういえば、とマツリは思い起こす。
役所の人間であるリンは服を素敵だと賞賛し、これまで入店した店も入店拒否する店は一軒も無かった。
「わたしね、この島で気付いたのよ…自分が思った以上に負けず嫌いだって。」
この島で受けた対応を今の自分の持てる力でひっくり返したい、その為の再挑戦。
「リリア島はね…今のわたしを作ってくれた場所なのよ。」
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