第12章

それから特に予定外のトラブルも無く、リリア島まで来る事が出来たのだが。
「せ、関所…というか、島全体が…なんか…。」
その光景にマツリは呆気に取られていた。

それもそのはずで。
島全体がまるでデコレーションケーキの様に飾り付けられ、レンガで組み立てられた建物の色彩はパステルカラーが多くまるでおもちゃを並べている様な外観、更に言えば歩いている人々は思い思いのファッションに身を包み楽しそうに過ごしている。

「こんな…物語の中でしか見た事無いような光景が現実にあるなんて…!」
「ミツメはしょうせつなんだよ。」
ひょっこり現れたガーナにちょんちょんと袖を引かれ、目の前の光景に夢中になっていたマツリは「わあ!?」と大きい声を出してしまう。
「おもしろいリアクションするよね。」
お求めの物はコレじゃないですか~とふざけた顔をしながらガーナはマツリのスケッチブックと鉛筆を渡す。
「…そんなに分かりやすいかなぁ。」
「わかるよ~手がうずうずしてたもん。」
ガーナが察していた通り、マツリは綺麗な景色をスケッチしたいと考えていた。
考えが筒抜けになっていた事が恥ずかしいと思うも、何故か分かって貰えた嬉しさに微笑むマツリに、ガーナもにっと歯を見せて笑う。
「おはなちゃん達~そろそろ関所のチェックに行くわよ~!」
サナからの声が掛かり、彼女達は二人揃って移動していった。
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