第12章

リリア島。
この島は、他の島とは一線を画す違いがある。
文化、ルール、価値観…その多様性は、唯一無二であり、合う人物には合う、合わない人物にはとことん合わない。
そもそも最初に島に入る時点で、二の足を踏む人々もいる程だ。

リリア島へ入るには。
服装を可愛いものに身を包まないといけない。

「これを守らないと、島に入る事も出来ないし、そのまま入ろうとすると島どころか牢屋に入れられちゃうから、脱がないでね~。」
さらっと恐ろしい事を口にするが、着ておけば大丈夫なのだろうとマツリは少し安心するが、疑問は消えない。
「でも…可愛いものって…?」
「うーんそうねぇ…それなりの流行とかはあるけれど。」
サナはぐったりとした顔をしているメソドを無理矢理少女達の前に連れてくる。
「メソドちゃんの場合は、このニットに付いてるリボンね!リボンは付いていると許される事が多いわね…それと。」
もう用済みとばかりに離したサナは、次は船長を呼ぶ。
「船長の場合はこのスカートの裾ね…襟も特徴的で良いけれど、フリルがあると可愛い認定を貰えるわ!」
「いえーい、かわいい。」
ノリノリでサナのテンションに乗っかる船長に、少女達は微妙な反応をしている。
「お、奥深い…。」
「ふかすぎて分からないんだよ。」
そこでマツリは今更ながらこの場に一人居ない事に気付く。
「あれ、ノイさんも着替えないとまずいんじゃ…。」
「着替えたんだけど部屋から出ないって引き籠っちゃっているのよ~!」
折角全力で可愛くしたのに~!!と憤慨するサナを見て何となく事情を察したマツリだった。
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