第12章

普段であれば、そのまま船を進めるだけで良いのだが。
「あ~の~。」
くるくるとメジャーを巻かれながら、マツリは口を開いてしまう。
何故なら、自分がこんな状態になっているのか理解が追い付いていないからだった。
「何故改めて採寸をされているんですか?前に測ったような…。」
「衣装の時より体型が変わっているから。」
ぐさりと言われマツリの表情が明らかに固まる。
「…あ、マイナスな意味じゃないのよ?マツリちゃんのお年頃なら、成長の為に栄養を蓄えるのは必要な事だし。」
「サナさん、今あたしは傷付いてます…。」
例え健全だと言われても、太ったと言われて良い気はしないのがお年頃の女子だ。
「ごめんなさい、浅慮だったわ。」
微笑みながらも採寸の手は止めない真剣そのものの彼に、マツリは再度聞く。
「…サナさん、どうしてこんなに急いで服作りをしようとしているんですか?」
マツリはそっとサナがメモを書いている用紙を見ると、そこには自分だけではなく他のメンバーの名前やサイズが記載されている。
おそらく自分一人ではなく、他の海賊達の服も作るつもりなのだろう。
「これから作るとなると、時間も掛かりますよね?…お手伝い、しましょうか?」
「あぁ…気遣いありがとう。」
でもね、とサナは笑みを深める。
「これは、わたしの再挑戦の為に作っているの…だから、大丈夫。」
再挑戦とはどういう事なのだろうか、それを聞く前に採寸が終わってしまう。
「はい、これでおしまい…絶対良い物に作るから完成楽しみにしててね!」
自信たっぷりに告げられ、マツリはそれ以上言及出来ないと思い、サナの言葉通り服の完成を待つ事にした。
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