第12章

そして約束の会議の日。
会議というのは、主に海賊達の現状報告の場であり、食料、航路、武器、船の損傷等の確認が行われる時間を指す。
ある程度の話し合いがされ、落ち着いた頃サナが「はーい!」と手を上げる。
「リリア島に行きたいわ、船長許可出して♡」
「止めろ。」
すぐさま別の声が上がったが、それは船長からでは無かった。
「…どうせテメェの趣味の為だろ。」
「あら、それだけじゃないわよノイちゃん。」
苦い顔をして呟くノイにサナはすぐに反論する。
「服の生地も少なくなってきたしぃ…女の子達もアクセサリー見たいって希望が出ているのよ~。」
ね~と同意を求めるその声に彼女達はうんうんと深く頷く。
「…だからってあの島じゃなくても。」
今度はメソドからもノイと同意見の様な声が上がり、サナは口を尖らせる。
「んも~あの島だからいいんじゃない!」
「「あの島だから嫌なんだよ。」」
平行線のままの会話を聞く中で、マツリはこっそりとガーナに聞く。
「…ガーナちゃん、リリア島って知ってる?」
「なまえだけなら知ってるよ~。」
うんとね、とガーナはマツリにざっくりと説明してくれる。
「ファッションがすごい島なんだって…ほかの島にもリリア島でつくられたふくがいっぱいうられているってサナから聞いたよ。」
なるほど、だからサナは自分達にそこを案内したのかとマツリは合点がいった。
しかし、男性二人がいまだに島に行く事を渋っている理由が分からない。
(基本的に治安が良くて人がいる島ならどこでも大丈夫って答える人達だと思ったけれど…。)
何故こんなにも行きたがらないのか、色々理由を考えている内に「ふわぁ…。」と緊張感の無い声がした。
「んもう、後は船長の意見で決まるんだから勝手に居眠りしないでよ!」
「…船長、決めて下さい。」
進路をどうするか、最後の決定はこの男に結局委ねられる。

「いいんじゃない?リリア島…俺も気になる事があそこにあるからさ。」

何だかんだ話は聞いていたらしい彼の一言で、行く先はあっさりと決まった。
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