第11章
昨日あれほど誰にも見つからないようひっそりと歩いていたのが噓のようだ、とマツリは思うもドタドタと音を立てて目的の場所へと急いで移動していた。
あっという間に辿り着いた部屋は。
「…ッ。」
昨日の光景を思い出し、扉を開けようとしたその手を一度止めてしまうも、歯を食いしばり勢い良くそこを開ける。
一番先に飛び込んできたのは、画材から放たれる独特な匂い。
しかし、昨日とはまた別のものとなっていた。
「…これが。」
件の喧嘩の元となっていた絵、クレヨンで真っ黒に塗りたくられたものとなっていたそれが、どういう訳か違う絵になっている。
黒く塗られたそこに、亀裂のように線が走り、下に埋もれてしまった数々の色が浮き出てそれが真っ黒な夜空に現れた星々が流れているかのようで、思わず見惚れてしまう。
「これが…サナさんが言ってた物。」
先程サナがマツリに伝えた話は、意外な内容だった。
「実はね昨日夜更かししていたのは、マツリちゃんだけじゃないのよ。」
え、とマツリは目を丸くすると、サナは微笑んだ表情のままで話を続ける。
「あんな出来事があったから、わたしも気になってね…こっそりあっちの部屋まで覗きに行ったのよ。」
彼曰く、深夜まで部屋から灯りが消えなかったので、部屋を訪ねるとすぐに追い出されてしまったとの事だった。
「でもね、こう言われたわ。」
隣に座っているマツリを横目で見ながら、彼はこう言い終わる。
「マツリちゃんだったら入っていいって…何をしていたのか聞きたいなら、本人に聞いてあげて。」
絵に夢中だったマツリは、そこでこの絵を作り上げた製作者を探す。
「ん…む。」
微かな声が聞こえたと思えば、彼女はベッドの上にいた。
あっという間に辿り着いた部屋は。
「…ッ。」
昨日の光景を思い出し、扉を開けようとしたその手を一度止めてしまうも、歯を食いしばり勢い良くそこを開ける。
一番先に飛び込んできたのは、画材から放たれる独特な匂い。
しかし、昨日とはまた別のものとなっていた。
「…これが。」
件の喧嘩の元となっていた絵、クレヨンで真っ黒に塗りたくられたものとなっていたそれが、どういう訳か違う絵になっている。
黒く塗られたそこに、亀裂のように線が走り、下に埋もれてしまった数々の色が浮き出てそれが真っ黒な夜空に現れた星々が流れているかのようで、思わず見惚れてしまう。
「これが…サナさんが言ってた物。」
先程サナがマツリに伝えた話は、意外な内容だった。
「実はね昨日夜更かししていたのは、マツリちゃんだけじゃないのよ。」
え、とマツリは目を丸くすると、サナは微笑んだ表情のままで話を続ける。
「あんな出来事があったから、わたしも気になってね…こっそりあっちの部屋まで覗きに行ったのよ。」
彼曰く、深夜まで部屋から灯りが消えなかったので、部屋を訪ねるとすぐに追い出されてしまったとの事だった。
「でもね、こう言われたわ。」
隣に座っているマツリを横目で見ながら、彼はこう言い終わる。
「マツリちゃんだったら入っていいって…何をしていたのか聞きたいなら、本人に聞いてあげて。」
絵に夢中だったマツリは、そこでこの絵を作り上げた製作者を探す。
「ん…む。」
微かな声が聞こえたと思えば、彼女はベッドの上にいた。