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第11章

最初の一言は何にしようだとか、どんな表情を見せればいいのかなどと考えていたマツリは今。
「あ、のぉ…。」
むにゅり、むにゅ、むぐぐ…とサナの細長い指で顔をマッサージされていた。
「クマが出来ているからあんまりコンディション良くないとは思ったけれど…これは深刻ね。」
むくみもあるし、おめめも赤いわね~と好き勝手に触られるので、マツリは口を開けない。
どうしたものかと考えあぐねていると、やっと気が晴れたのかサナがその手を放す。
「ごめんなさいね、気になったものだから。」
「い、いえ…。」
「ご飯食べてて、化粧水持ってくるから!」
まだ顔のケアをするのか…と思いながらも、マツリは言葉通りにご飯に手を出した。
冷めることなく温かいままのスープを口に含むと、じんわりとその熱が体に染み渡る。
「…おいしい。」
そこから忘れていた食欲が爆発し、一気に平らげてしまった。

「さて、と!お肌もお腹も良くなったわね。」
「はい…。」
あれから化粧水と乳液をたっぷりと塗られピカピカに磨かれた肌、しっかりと出されたすべてご飯を食べ満たされた腹を擦りながらマツリは返事をする。
「…お話、してもいいかしら?」
その一言に体がすぐに強張った。
分かってはいても、逃げて通る事は出来ないと分かり寸の間ぎゅっと目を瞑る。
「―別にお説教を始める、なんて言ってないわ。」
マツリの様子を察して、美形は口を開く。
「ただ、あの後に起こった出来事をわたしは貴方に伝えたくてここに来たの…聞いて頂戴?」
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