第11章
化け物!
こっちに来るな、どっか行け!
生まれた時から感じていた周囲との壁、それを突き付けられたのは、第三の目を見られてこの言葉を投げられた時だった。
育ての親であるムマジがどうしても外せない用事があり、半日だけ子どもを預かる場所に行った際、同い年である子どもにハッキリと現実を告げられる。
自分は周りの人間と違うのだ、と。
他の子どもは遊んでいても仲間には入れてくれず、大人もどうしたらいいか対応に戸惑っていた。
自分はこの場にいるだけで迷惑を掛ける存在なのだ、と知ったマツリはそこから徐々に家から出なくなり、いつしか。
家から一歩も出る事が出来ない人間になっていた。
「―マツリ。」
ごりごりと絵だけでは足りず、部屋の壁や床まで黒く染めようと黒のクレヨンを一心不乱に塗り付けているマツリへ言葉が掛けられる。
「これをやる。」
しゅるりと頭に巻きつけられたのは、一枚のバンダナ。
何をするのかと無言でムマジを睨むと、その表情は真剣そのものだった。
「その目は今、お前にとって足枷の様な物かもしれん…だが、いつの日かきっとその力の意味が分かるはずだ。」
それまでは、と力強い言葉が続く。
「自分の為にも、こうして隠しておけ。」
あの時は、「じゃあ何でこんな不気味なあたしなんか拾ったの!?」と彼を責め、その手を払いのけてバンダナもタンスの奥に入れてしまったのだが。
領主がムマジの大切に保管していたネックレスを強奪された事件が起き、そこから怪盗として活動、島の人達もマツリの力に頼らざるを得なくなり、彼女は再び外に出る事が出来るようになった。
それでも、心まで変わったかと言われれば。
「―どうしよう。」
メソドの助言を受け、マツリはこっそり鍛錬室へやってきた。
夜の時間ということもあり、部屋には誰もいない。
人払いをしてくれたのかもしれないが、今は明日の事について頭がいっぱいになっていた。
「イライラしていたのを、全部ガーナちゃんや絵に当たっちゃった…昔から何も進歩してない。」
後悔しても放たれた矢は返ってこない、ならばどうするか。
時間だけは過ぎていくのに、一向に解決策が見えてこなかった。
こっちに来るな、どっか行け!
生まれた時から感じていた周囲との壁、それを突き付けられたのは、第三の目を見られてこの言葉を投げられた時だった。
育ての親であるムマジがどうしても外せない用事があり、半日だけ子どもを預かる場所に行った際、同い年である子どもにハッキリと現実を告げられる。
自分は周りの人間と違うのだ、と。
他の子どもは遊んでいても仲間には入れてくれず、大人もどうしたらいいか対応に戸惑っていた。
自分はこの場にいるだけで迷惑を掛ける存在なのだ、と知ったマツリはそこから徐々に家から出なくなり、いつしか。
家から一歩も出る事が出来ない人間になっていた。
「―マツリ。」
ごりごりと絵だけでは足りず、部屋の壁や床まで黒く染めようと黒のクレヨンを一心不乱に塗り付けているマツリへ言葉が掛けられる。
「これをやる。」
しゅるりと頭に巻きつけられたのは、一枚のバンダナ。
何をするのかと無言でムマジを睨むと、その表情は真剣そのものだった。
「その目は今、お前にとって足枷の様な物かもしれん…だが、いつの日かきっとその力の意味が分かるはずだ。」
それまでは、と力強い言葉が続く。
「自分の為にも、こうして隠しておけ。」
あの時は、「じゃあ何でこんな不気味なあたしなんか拾ったの!?」と彼を責め、その手を払いのけてバンダナもタンスの奥に入れてしまったのだが。
領主がムマジの大切に保管していたネックレスを強奪された事件が起き、そこから怪盗として活動、島の人達もマツリの力に頼らざるを得なくなり、彼女は再び外に出る事が出来るようになった。
それでも、心まで変わったかと言われれば。
「―どうしよう。」
メソドの助言を受け、マツリはこっそり鍛錬室へやってきた。
夜の時間ということもあり、部屋には誰もいない。
人払いをしてくれたのかもしれないが、今は明日の事について頭がいっぱいになっていた。
「イライラしていたのを、全部ガーナちゃんや絵に当たっちゃった…昔から何も進歩してない。」
後悔しても放たれた矢は返ってこない、ならばどうするか。
時間だけは過ぎていくのに、一向に解決策が見えてこなかった。