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第11章

「明らかなストレス症状だな。」
ガーナに案内されたメソドは動けないマツリをその場で診察し、そう断言する。
「…ストレス?」
我慢をしてはならないと言われ持ってきてくれたバケツの中に一度吐いてから、彼女は聞き返す。
「恐らくだが、長時間船という密閉空間に居続けた事により出てきたものだろう…診た所体からは風邪の様な症状は無い、風邪や食あたりなら同じ食事を食べているオレ達に同様の症状が無いのはおかしい。」
とりあえず、病という事では無い事を知り安堵するも、別の疑問が沸く。
「これまで船の中にずっといたのに、今更何で…?」
「この所、島に降りてないだろ。」
確かにメソドの言葉通り、このところ島が無い海域を船は走っており、無人島すら無いので船から離れる事は不可能、必然的に船に引き籠った生活を海賊達は強いられていた。
「人は本来なら海では無く陸で暮らす生き物だ、その環境を変え新たな生活に体を慣らす事は強い不安を引き起こす…自覚があっても無くても、体に影響が出てしまう事もある。」
「そんな…。」
どうすればいいのだろう、と心が弱っている状態だからか泣きそうな顔をするマツリに「待て。」と船医は続ける。
「要は慣れればどうとでもなる、君だけじゃなくて他の奴らも通った道だ。」
持参した救急箱を開け、メソドは手を出すよう告げ、マツリの手の平に丸薬を置いた。
「酔い止め…吐き気を止める成分も入ってる。」
足りなくなったら連絡して欲しいと話してから、彼はこう締めくくる。
「とりあえず…暫くは自分が苦しいとか嫌だと感じる事はなるべく止めておいた方が良い、休むのも良いが…そうだな、君の場合は絵を描いた方がリラックス出来るんじゃないか?」
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