第10章
「―何の事ですか?」
極めて冷静なその声が、ノイに問う。
「焦げ臭いんだよ、お前の体に纏っている臭いが。」
普段から強面と言われているその顔を更に厳しくさせ、そのまま逃がさないとばかりに責め立てる口調を使う。
「俺は…バカかって言う程火を扱っていた奴を知っちゃいるが、それでもアイツからはてめえみたいな臭いはしなかった。」
ノイは直感的に物を言っているに過ぎない。
しかし、彼の格好は火事から避難してきたにしてみれば妙な点がいくつか見て取れた。
最低限の貴重品は持って逃げそうなのに、ほぼ手に何も持っていない事。
火の被害に遭ったのであれば、そのまま消火活動か火が収まるまで見届けるはずでこうして移動はしないであろう事。
そして。
「その手に握っているモン、見せてみろ。」
ずっと握られていた拳、それがノイの顔に向かってきた。
極めて冷静なその声が、ノイに問う。
「焦げ臭いんだよ、お前の体に纏っている臭いが。」
普段から強面と言われているその顔を更に厳しくさせ、そのまま逃がさないとばかりに責め立てる口調を使う。
「俺は…バカかって言う程火を扱っていた奴を知っちゃいるが、それでもアイツからはてめえみたいな臭いはしなかった。」
ノイは直感的に物を言っているに過ぎない。
しかし、彼の格好は火事から避難してきたにしてみれば妙な点がいくつか見て取れた。
最低限の貴重品は持って逃げそうなのに、ほぼ手に何も持っていない事。
火の被害に遭ったのであれば、そのまま消火活動か火が収まるまで見届けるはずでこうして移動はしないであろう事。
そして。
「その手に握っているモン、見せてみろ。」
ずっと握られていた拳、それがノイの顔に向かってきた。