第10章
現場に近付いていく程に、日常が焦がされる様子が嫌でも分かった。
サナとマツリはハンカチを口に添えてその場へやってくると、見覚えのある人影が見えてくる。
「メソドさん!」
「…来たか。」
片手にはバケツを持ちこちらに振り向く彼は、体は問題無いようだが髪の先が焦げている所もあった。
「一応人を集めちゃいるが…それでも人は足りない、犯人らしき人影も見ていないのないない尽くしだ。」
「今ノイに頼んで人を集めております。」
なるほど、と頷いた彼は他のメンバーの所在を話す。
「ガーナは念の為船に待機、船長は…いないよりはマシだからこっちで火消しをして貰っている。」
「メソドちゃーん、いっぱい水汲んできたよー。」
こんな時でも緊張感の無い声でこちらに話し掛けるのは、常時目の下にクマを付けている男だった。
「船長、面倒臭がらないでバケツは2個ずつ持ってきて下さい…悪目立ちしますよ。」
「へーい。」
ふざけているのかと聞きたいくらいに複数のバケツを両手だけに留まらず頭にも乗せている彼にメソドは一部のバケツを引き取る。
「オレらはここで火を止める、お前らは…犯人を追え。」
船長のその言葉にマツリは首を傾げた。
「え…もう犯人は逃げてしまっているんじゃ?」
「いいえ、違いますよ。」
これは予測の1つに過ぎませんが、とサナは前置きをしてからきっぱりと言い放つ。
「何も盗る訳でも無くただただ燃やすだけの犯行を繰り返す…燃やす事への異常な執着が見える、つまりは―――火が見える位置に犯人はまだいるはずですよ。」
サナとマツリはハンカチを口に添えてその場へやってくると、見覚えのある人影が見えてくる。
「メソドさん!」
「…来たか。」
片手にはバケツを持ちこちらに振り向く彼は、体は問題無いようだが髪の先が焦げている所もあった。
「一応人を集めちゃいるが…それでも人は足りない、犯人らしき人影も見ていないのないない尽くしだ。」
「今ノイに頼んで人を集めております。」
なるほど、と頷いた彼は他のメンバーの所在を話す。
「ガーナは念の為船に待機、船長は…いないよりはマシだからこっちで火消しをして貰っている。」
「メソドちゃーん、いっぱい水汲んできたよー。」
こんな時でも緊張感の無い声でこちらに話し掛けるのは、常時目の下にクマを付けている男だった。
「船長、面倒臭がらないでバケツは2個ずつ持ってきて下さい…悪目立ちしますよ。」
「へーい。」
ふざけているのかと聞きたいくらいに複数のバケツを両手だけに留まらず頭にも乗せている彼にメソドは一部のバケツを引き取る。
「オレらはここで火を止める、お前らは…犯人を追え。」
船長のその言葉にマツリは首を傾げた。
「え…もう犯人は逃げてしまっているんじゃ?」
「いいえ、違いますよ。」
これは予測の1つに過ぎませんが、とサナは前置きをしてからきっぱりと言い放つ。
「何も盗る訳でも無くただただ燃やすだけの犯行を繰り返す…燃やす事への異常な執着が見える、つまりは―――火が見える位置に犯人はまだいるはずですよ。」