第1章(後編)
海賊たちは、島の集会所まで連行された。
そこで、サナが不思議に呟く。
「…ここの島には警察は無いのですか?」
「警察なんて、いねぇよ。」
漁師の一人が鼻を鳴らし、丁寧に答える。
「ナンチ―島は犯罪が比較的に起こらないからな。」
「…なのに、何でそいつは捕まらない?」
ノイがまっすぐマツリを見る。
気まずくなり、マツリはその視線から逃げるように顔を背ける。
「な、何を言っているんだ…。」
「そうだ、この子は捕まるようなことはしていない!」
「いや、この子はわたしたちの船に侵入して…。」
「俺たちが見た時には、マツリを拘束していたじゃないか!」
マツリを擁護するような発言ばかりが島民たちの口から放たれる。
「とりあえず、本土の警察に連絡して連行してもらうからな!!」
「ちょ、ちょっと待て!」
話し合いは平行線のままで、どうすればよいか海賊たちは頭を悩ませたが、ここで船長が口を開く。
「どうでもいいけど……とりあえず、怪盗に島民全員が協力しているんだよな?」
