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第10章

ある程度の人数がその場に集まり、軽い説明が行われた。
まずは、あくまで警備が仕事であり犯人を捕まえる事では無いので、犯人と出くわしても無理はしない事。
もし犯人を見つけた場合は他の仲間たちへ即座に連絡、一人では決して行動しない事。
そして、最後にと説明をしていた雇い主…この島の領主がある道具を取り出す。
「火消道具です…人数分用意してありますが、足りなければお申し付けください。」
簡単なものではあったが、火を消すのにすぐ対応出来そうな道具を手渡される。
「集まって下さった皆さんには大変感謝しております、至らぬ点が多くて申し訳ありませんが、どうか…安全にこの仕事が終わるよう願っております。」
ぺこりとお辞儀をする彼の姿を見て、マツリはある人物を思い出してしまう。
「…島が違うだけで、こんなに領主も違うんですね。」
「お前のところだいぶ自分勝手な奴だったもんな。」
腰が低いまま下がってゆき、そしてまた別の人物達が現れた。
「ここからは僭越ながら我々が声を上げさせて貰う、どうか聞いて欲しい。」
リートが口を開いただけなのに、周りが沸き立ち真剣な場なのに「待ってました!」などと声が掛かる。
「あらかじめ人数やルートを分けさせて貰った、大変な仕事ではあるが我々と共に警備をして欲しい…頑張ろう!」
彼がこぶしを上げると、他の参加者達も共に「おーっ!」と声が上がった。
それだけで、島民達にとって彼等…セームド海賊団は島をまとめる領主よりも、人気者集団である事が外から来たマツリ達にも伝わる。
「…何であんなに似ているんだろう。」
彼女が小さく零した疑問は歓声達にかき消された。
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