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第10章

「それは…おかしな偶然ねぇ。」
少女達が帰ってきてすぐに伝えに向かったのは、2人の帰りを待って情報収集で島に行こうかなと言っていたサナだった。
最初は面白い事でもあったのだろうかとにこやかに話を聞いていたものの、例の海賊たちの話が出た辺りで複雑な表情をし始め少し考える素振りをしてから、彼は口を開く。
「まぁ、わたしだったら多少変装する事が出来るけれど…どう思われるか分からないものね。」
幸い他のメンバーは船から出ておらず、各々の仕事に取り掛かっていたのでまだ島民達の目には触れていなかった。
サナは2人の話を聞いて、先程の言葉通り変装をして島に降りる事にし、お礼を言って服を着替えに部屋へと戻ってゆく。
「でも…1人ならともかく、何で4人とも似たような人がこの島にいるんだろう。」
「へんだよね。」
海賊とは名乗りながら慈善活動をする彼等、一度しか話していないが2人は見かけこそ奇妙に感じながらも、本人達の人の好さも受け取る事が出来ていた。
「せかいには、自分とそっくりなひとが3人くらいいるってきいたことあるよ。」
「3人…あたし達にもそっくりな人がいるのかな。」
「え~ガーナはあいたくない。」
それに関しては同意だな~と笑っていると、ぱたんと扉が開く音がする。
「じゃあ、行ってくるわね。」
紅色のドレスにつばの広い帽子、パンプスを身に纏い薄く化粧をした…身内でなければ性別も歳も分からないサナは優美な微笑をして軽やかに少女達の前を通って行く。
「…しょーじき似てる似てないよりも、どんな人にも化けることができる人間の方が怖いきがしてきた。」
その言葉に関しては少し苦い表情で返事をすることしか出来ないマツリだった。
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