第9章
「その時は…それまでだと思っています。」
ずっと背を向けていたメソドが振り向く、それでも構わず対話をしたいとマツリは震える口を動かした。
「投げやりに言っている訳ではありません、けれど…どれだけ敵意や殺意を持たれても、命は取れません。」
「お前は…ッ!」
眉間に皺寄せ口を開こうとしたメソドのその体が揺れその場でしゃがむ。
目を押さえて脂汗が出ているその様子に、マツリは一つ息を吐いた。
「あまり見せたくは無かったのですが…こうした方が早いと思ったので。」
「…早く解け。」
今マツリの視界は腐ってしまった池が見えているが、メソドは違う。
これまでマツリが見てきた自分の考え得る限りの気持ち悪い物や、色彩、光景を速い速度でメソドの眼球に、マツリの幻術の力で強制的に見せられているのだ。
効果は出ている様子が見れたので、マツリは言われたとおりに幻術を解く。
恨みがましい視線を投げられ「すみません。」とマツリは謝ってから話を続ける。
「今回は短い時間でしたが…メソドさん、ずっとこれを見させられていたら自分はどうなっていたと思いますか?」
まだえもいわれぬ光景が目に残っていて満足に目を開ける事が出来ないが、メソドは声を出して答えた。
「吐き気…現実と精神世界の境界線が曖昧になるくらいには精神力の低下はあると思う。」
そうですよね、とマツリは頷くと少し視線を下げて自分の見解を伝える。
「あたしは…その気になれば自死したくなる程の気持ちにさせる事も可能な力だと思っています。」
ぴくり、とメソドが片眉を動かす。
「けれど、使いません。」
「…何で。」
シンプルな問いにマツリはまっすぐな瞳でメソドを見つめながら答えた。
「この力は便利で強くて…そして怖い物、だからみだりに使いません。」
一歩しゃがんでいるメソドに近付き手を差し伸べる。
「力を持ち知っているからこそ、命が壊れやすい事も知っているつもりです…だから、あたしは見ず知らずの命でも大切にしたい。」
ずっと背を向けていたメソドが振り向く、それでも構わず対話をしたいとマツリは震える口を動かした。
「投げやりに言っている訳ではありません、けれど…どれだけ敵意や殺意を持たれても、命は取れません。」
「お前は…ッ!」
眉間に皺寄せ口を開こうとしたメソドのその体が揺れその場でしゃがむ。
目を押さえて脂汗が出ているその様子に、マツリは一つ息を吐いた。
「あまり見せたくは無かったのですが…こうした方が早いと思ったので。」
「…早く解け。」
今マツリの視界は腐ってしまった池が見えているが、メソドは違う。
これまでマツリが見てきた自分の考え得る限りの気持ち悪い物や、色彩、光景を速い速度でメソドの眼球に、マツリの幻術の力で強制的に見せられているのだ。
効果は出ている様子が見れたので、マツリは言われたとおりに幻術を解く。
恨みがましい視線を投げられ「すみません。」とマツリは謝ってから話を続ける。
「今回は短い時間でしたが…メソドさん、ずっとこれを見させられていたら自分はどうなっていたと思いますか?」
まだえもいわれぬ光景が目に残っていて満足に目を開ける事が出来ないが、メソドは声を出して答えた。
「吐き気…現実と精神世界の境界線が曖昧になるくらいには精神力の低下はあると思う。」
そうですよね、とマツリは頷くと少し視線を下げて自分の見解を伝える。
「あたしは…その気になれば自死したくなる程の気持ちにさせる事も可能な力だと思っています。」
ぴくり、とメソドが片眉を動かす。
「けれど、使いません。」
「…何で。」
シンプルな問いにマツリはまっすぐな瞳でメソドを見つめながら答えた。
「この力は便利で強くて…そして怖い物、だからみだりに使いません。」
一歩しゃがんでいるメソドに近付き手を差し伸べる。
「力を持ち知っているからこそ、命が壊れやすい事も知っているつもりです…だから、あたしは見ず知らずの命でも大切にしたい。」