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第9章

ヒルというのはナメクジみたいな生物で、一部のものは人の血を吸う事もあるらしいと説明を受けたマツリは、傷口を手当してもらい少し座って周りを見渡す。
最初は林だと思っていたここも、思ったより木が多く前に行った無人島を思い起こすような森に思えてくる。
「水筒は持ってきてるな?」
「はい。」
行く前にマスクを付けて貰った後、長くなるだろうからと持っていくのを勧められた一つは水筒だった。
飲み過ぎてしまうと空になってしまうので、マツリは気を付けて少しだけ口に含む。
「なるべくここの物を口にしない方が良い。」
どこに病原菌が潜んでいるか分からない、しかもとメソドは指摘する。
「さっきのヒルでも油断出来ない、もし感染病者から血を吸っていた場合…。」
「え!?」
こうした事でも感染が起こるのかと思わず立ち上がってしまうも、メソドは「慌てるな。」と冷静に物を言う。
「だから今水を勧めたんだ、水を体内に入れる事で体の循環を促し病原菌を外に排出するその為に。」
「…?」
分からない様子の彼女に、少し頭を掻いてからメソドはなるべく分かりやすく事を伝える。
「その…汗や鼻水とかくしゃみ、あとトイレ…これらは体にとって良くない物を出す効果もある。」
「な、なるほど!」
これまでマツリは学校には通った事など無く、医療に関しては体を見る事は出来るものの、その動きのメカニズムは理解出来ていなかったので、ここまで説明を受けてやっと頭に入ったようだった。
「でも…島の水を貰えないのは不便ですね、船の中に生えているマングローブでも真水を採る量が限られているのに。」
「不便だ、だが仕方が無い。」
鞄の中に入っていた小筒型の望遠鏡を取り出したメソドは、その光景に確信を持って頷いた。
「病にも色んな種類があるが…出所さえ分かればある程度対策が取れるからな。」
それが分かるまでの辛抱だ、と言われマツリははいと返事をしそのまま彼と一緒に歩き始める。
メソドが見つけたらしい、その場所まで。
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